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マイ★スター  作者: みっち~6画
第2章 レオとヒドラ
48/56

48世界の果て。

 ヒドラが破顔した。

「レオ。おまえは、親父さんのような強い大人になりたいんだな」

 ゆっくりと息を吐き出す。

「それは、もちろん。父さんが死んで……でも、おれはいつでも父さんのことを……」

 はた、と顔を上げる。

「それじゃあ、ヒドラ? おまえは、男になりたいのか?」

「強い男、だ」

 念を押すように言い直し、ヒドラはレオの腕を引いた。

「メシでも食おう。付いて来いよ」

「待って、もっと説明が欲しい。どうしておれは……おれたちがこんなことになったのか」

 いくつかの店を物色しながら、ヒドラは「もちろん」と軽い調子でうなずいた。

「説明はする。納得いくまで、話してやるよ。でもな、腹の虫を黙らせるのも重要な仕事だ。なんせ、あんたのために熊みたいな大男と立ち回ったんだぜ?」

「……お義父さんはどうなったの」

 だるそうに目を伏せて、ヒドラはにやりと口元をつり上げる。

「パイプが破裂したのに驚いて、さっさとどこかに逃げていった。もういないよ」

「そう」

 レオは小さな絵筆を、首から提げたまま指し示した。

「これ、がカギなのか?」

「そうだよ。世界の果てまでも行ける、不思議なカギさ」

「赤目も探しているの?」

 そうだよ、とまたもヒドラは破顔する。

「元々は赤目が所有していたらしい。その前は、また別のだれか。ちょっとしたことで手放しちまって、それをあの熊みたいな男が拾ったんだろう。それをまたおまえが持ち出したってワケさ」

 レオはいぶかしげにまゆをひそめた。

「どうして、そこまで知っているの」

「彼に聞いたからさ」

 ――赤目。

 レオは注意深く辺りを見渡し、行き過ぎる人びとを観察した。

「大丈夫。だれも聞いちゃいないよ」

「どうして断定できるんだ」

 ヒドラは答えず、代わりにうまそうな匂いのする店屋の前で仁王立ちになった。

「この店にしよう! ちょっと混んでるけど……まあ、いいだろう。なんでも食べてくれ」

 両手を広げるヒドラは通行人のじゃまになっている。慌てたレオは「分かったから」とつぶやいて、ヒドラの腕を引いた。

「そんなに大声を出さないでくれよ」

 ただっ広い通りには、機嫌よさそうに高笑うヒドラの声だけが響いている。



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