表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

第6話「株価はなぜ動く? 魔法と市場の法則」

株価が上がる・下がる理由は「需要と供給」――シンプルですが、実際にはその背後に人々の心理や情報が動いています。

今回はそれをファンタジー世界の出来事と重ねて表現しました。


“情報=風、株価=湖面”のイメージは、現実でも役立つはず!

リゼリアは、港町の小さな喫茶店に腰を下ろしていた。

テーブルの上には分厚い帳簿と、昨日ギルドで購入したばかりの株式の証書が置かれている。


「……うーん。昨日は“良い会社”だからって株を買ったけど……なんで値段が上がったり下がったりするんだろ?」


カウンターでカップを拭いていた店主が、興味深そうに顔を上げた。


「嬢ちゃん、株の値段はな、魔物みたいに理由もなく暴れたりはしねぇ。必ず“原因”があるんだ」


「原因?」


「需要と供給だ。買いたい奴が多ければ値段は上がる。売りたい奴が多ければ下がる。それだけの話さ」


なるほど、リゼリアは頷いた。

だが、それだけでは物足りない。彼女はメモ帳を開き、さらに聞き出す。


「じゃあ、何で買いたい人や売りたい人が増えるの?」


「そりゃあ、会社の業績や、王国の景気、戦争の噂、魔物討伐の成否……何でもだな。要するに、人々の“期待”と“不安”で値段は動く」


その言葉に、リゼリアの頭の中で一つの比喩が閃いた。

株価はまるで、風を受けて揺れる湖面のようだ。

風向きは“情報”であり、湖面を揺らすのは“人の心”だ。


「つまり……株価は魔法と同じなのね」


店主は怪訝そうな顔をした。


「魔法?」


「うん。魔法も、魔力というエネルギーをどう動かすかで結果が変わる。株も、同じ“資本”をどう流すかで結果が変わる。魔法陣を描くのが投資家で、詠唱が売買。詠唱を間違えれば、爆発……つまり大損失」


店主は大笑いした。


「面白い嬢ちゃんだな! でも、確かにその通りだ。感情に任せて詠唱すると失敗するってのも同じだな」


リゼリアはペンを走らせる。



【今日の学び】

•株価は需要と供給で動く

•需要と供給を動かすのは“人々の期待と不安”

•情報=風、株価=湖面、人の心=揺らぎ



そのとき、店の扉が乱暴に開いた。

泥だらけの鎧姿の男――かつての勇者パーティーの仲間、剣士ガイアだった。


「リゼリア! 大変だ! 西の鉱山で魔物が暴れて、鉄の供給が止まった!」


「……それって、この前買った“アイアン・ワークス社”の株に影響あるかも」


リゼリアの瞳が鋭く光った。

鉄が不足すれば武器の値段が上がり、会社の利益も変わる――が、それが株価を上げるのか下げるのかは分からない。


「ふふ……面白くなってきたじゃない」


リゼリアは証書を握り、席を立った。

魔王との戦いの次は、市場との戦いが待っている。

いつもお読みいただきありがとうございます!


リゼリアが初めて“株価の動く理由”に気づく回でした。

次回は、鉱山の事件が株価に与える影響をリアルタイムで追っていきます。

実際のマーケットでも「事件が起きた=必ず株価が上がる/下がる」ではない、その複雑さも描いていきます。


感想や評価が物語の風となります✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ