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第26話 エルフ、未来を読む

投資は予想ではなく「準備」。

そう思いながらも、未来を読むことに挑戦するのがエルフの性。

今回は、リゼリアが“市場の風”を読む話です。

「風が変わった……?」


リゼリアは森の塔の最上階で、遠くの街を見下ろしていた。

黄金に光る葉が舞い、風の流れがわずかに南へと傾く。

市場の変化は、自然と同じように小さなサインから始まる。


「鉄の値段が上がっている。戦の兆しか……?」

「リゼリアさん、それって……投資のチャンスってことですか?」


弟子のルークが目を輝かせる。

彼はまだ若く、投資の経験も浅い。だが、飲み込みは早い。


「チャンスでもあり、罠でもあるわ」

リゼリアは風に髪をなびかせながら、静かに告げた。


「国が武具を買い始めれば、鉄や火薬、薬草の値段が跳ね上がる。

でも……本当に戦が起これば、人々の生活は不安定になる」


ルークは息をのむ。

「じゃあ、どうすれば……?」


「どちらの未来にも備えるのよ」

リゼリアは淡く笑った。


「戦が起こるなら、戦争関連の物資が上がる。

戦が起こらないなら、平和産業――つまり生活必需品が息を吹き返す。

どちらに転んでも生き残れるように、資金を分けておくの」


「なるほど……分散投資、ですね!」

「そう。人の心が揺れるときほど、リスクを散らすのが大切」


ルークは感動したように頷き、メモを取り始めた。

リゼリアはその横顔を見て、少しだけ微笑んだ。

自分にも、こうして誰かに教わった時代があった。


――あの勇者と共に戦っていた日々。

魔王を倒すことしか見えていなかった頃。

その時の自分に、今の考えを教えてあげられたら――。


「……いえ、過去はもういいわね」

リゼリアは再び空を見上げた。


「私が見るべきは、次の風。

この世界の未来を少しでも良くする“お金の流れ”を作ることよ」


風が塔を包み、白い髪が舞う。

それはまるで、女神が次の時代へ導く光のようだった。



今日の学び


・どんな未来が来ても生き残れるのは、「予想」ではなく「準備」した者。

リゼリアが語る「分散投資」の考え方、現代でも超重要です。

次回は、彼女が新しい市場――“魔導通信”の株に挑みます!

お楽しみに!✨

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