第25話「黒い投資家の影! 正体を追え!」
市場を揺るがす大口投資家。
リゼリアに挑戦状を叩きつけた「黒い影」は誰なのか?
今回は、その正体に迫る物語です。
王都の市場は、再び不穏な熱気に包まれていた。
黒い影と呼ばれる大口投資家が仕掛けた株価操作は、多くの小さな投資家を破滅に追いやっていた。
「くそっ……あいつが来ると、必ず相場が荒れる!」
「何者なんだ……? もう太刀打ちできない!」
人々の怯えた声が広がっていく。
カリナが拳を握りしめた。
「リゼリアさん、このままじゃ……みんなが犠牲になります!」
リゼリアは冷たい光を宿した瞳で市場を見渡した。
「だからこそ、この影の正体を暴かなくてはならないわ」
リゼリアとダリオは、黒い投資家の動きを徹底的に記録した。
ある銘柄が異常に売られた瞬間、その裏で別の銘柄が必ず買われている。
数字を追うごとに、ひとつのパターンが浮かび上がってきた。
ダリオが驚きの声を上げる。
「これは……王都最大の商会、ヴァルド商会の資金の流れと一致している!」
ガイアが拳を鳴らす。
「つまり、その商会が黒幕ってことか?」
リゼリアは唇を引き結ぶ。
「……まだ断定はできない。だが黒い影は確実に、この王都の有力者の一人」
その夜。
リゼリアはギルドの情報屋に密かに会っていた。
情報屋は小声で囁く。
「黒い投資家……。裏では“クロウ”と呼ばれている。
どうやら、かつて勇者パーティーに資金援助していた貴族の家系と繋がりがあるらしいぜ」
リゼリアの心に鋭い痛みが走った。
「勇者の名を利用して……弱き者を踏み台にするつもり?」
その怒りは、かつて魔王と戦ったときと同じくらい深かった。
翌日。
市場で再び黒い影の仕掛けが始まった。
だがリゼリアはすでに数字を追い、動きのパターンを読み切っていた。
「買いだ、今よ!」
彼女の判断で仲間たちは動き、黒い影の罠をすり抜ける。
市場に集う人々がざわめいた。
「リゼリア殿が……あの嵐を避けたぞ!」
「すごい……本当に黒い影に対抗できるのか!?」
リゼリアは静かに呟く。
「必ずこの影を暴き、白日の下にさらしてみせる」
その決意は、かつて仲間たちを導いた勇者のものと同じだった。
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今日の学び
•相場の乱高下には必ず「意図」がある
•記録を積み重ねることで、相手の戦術やパターンが見えてくる
•正体を暴くには、冷静な分析と情報収集の両方が必要
お読みいただきありがとうございます!
今回は「黒い影」の正体が少しずつ見えてきました。
市場操作を仕掛けるのは、ただの無名の投資家ではなく、大きな組織や有力者である――という現実味を出しています。
次回、第26話は「クロウの罠! 勇者エルフ、最大の試練」です。
いよいよ正面衝突が近づいてきます。
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