表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

第1話 そして、エルフは証券口座を開いた

勇者パーティーの一員として魔王を倒した最強エルフ、リゼリア。

しかし、討伐後に待っていたのは──収入ゼロの現実!?


魔法も剣も通じない“お金の世界”に、彼女はどう立ち向かうのか。


今回は、物語の導入と、投資を始めるきっかけの話です!

魔王が討たれたその日、世界は歓喜に沸いた。


王国は盛大な祝宴を開き、勇者たちは英雄として称えられた。人々は口々にこう言った。


――これで平和が戻る、と。


だが、エルフの魔法使い・リゼリアは、祝杯のワインを口にしながら黙っていた。正確に言えば、眉間にシワを寄せながら、冒険者ギルドの報酬明細を見つめていたのだ。


「……少なっ」


魔王の首を取ってこの金額?

 しかも、明細の端には“今後、冒険者ギルドは段階的に解散”と書かれていた。


(やっぱり……予想してた通り)


彼女は勇者パーティーの頭脳として数々の魔導戦略を考案し、魔王討伐にも貢献してきた。だがその裏で、リゼリアは密かに考えていた。


(この世界で長く生きるには、魔法だけじゃダメ……)


エルフは千年生きる。人間たちの“終わった平和”は、リゼリアにとっては“これからどう生きていくか”の始まりに過ぎなかった。



数日後、彼女は王都の裏通りにある古書店を訪れていた。


「……あった。“金貨を生む資本論(改訂版)”。」


この世界ではごく一部の貴族や商人が、“証券”という不思議な紙を売り買いして財を築いているという。リゼリアは以前から、その存在に興味を持っていた。


「株……国家や商会に出資し、利益の一部を受け取る仕組み……長期で資産を増やす……ふむ」


魔法書を読み漁ってきた彼女にとって、金融の知識などただの応用にすぎない。火球をぶちかますよりよほど安全で、平和的に世界を変えられる気がした。



その夜、リゼリアは自作の“魔導証券端末”で証券口座を開設する。


「名義は……リゼリア・ウィンドブレード。職業は……“無職”か。ふふ、これはまずいわね」


最初に買ったのは、王国最大の魔法水供給企業〈アクアフロー社〉の株だった。


「水はインフラ、人口は増えてる、需要は安定……うん、最初の投資には悪くない」


このとき、まだリゼリアは知らなかった。


――数十年後、“エルフ投資家”として異世界経済を動かす存在になることを。


――そして、かつての仲間たちが「助けてくれ」と頭を下げに来る日が来ることを。

お読みいただきありがとうございました!

魔王を倒しても食べていけない……ファンタジーあるある、かもしれません(笑)


次回から、エルフによる“異世界投資術”が本格始動します。

感想・評価・ブクマなどしていただけたら、励みになります✨


それでは、また第2話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ