第17話「商会連合との対決! 勇者エルフの交渉術」
今回は「交渉力と投資」がテーマです。
リゼリアが大商会との対立に挑み、勇者としての胆力と投資家としての知恵を示します。
王都の豪奢な会議室に、重厚な机と高価な絨毯が並ぶ。
そこに集まっていたのは「王都商会連合」の幹部たち。
「勇者エルフよ、君の投資活動は目立ちすぎる。市場が混乱している」
白髪の老人が不快そうに言い放つ。
リゼリアは真っ直ぐに視線を向けた。
「市場を混乱させているのは、私ではなく、あなた方が操作している株価でしょう?」
一瞬、空気が張り詰めた。
カリナが小声で囁く。
「リゼリアさん……正面から挑む気ですね」
老人は指を鳴らし、書類を差し出した。
「我々が提示する条件を飲めば、これ以上の介入はしない」
書類には一方的な条項が並んでいた。
利益の大半を差し出すこと。
商会の許可なしに投資活動を続けないこと。
ガイアが顔を赤くして立ち上がる。
「ふざけるな! それじゃ奴隷契約じゃないか!」
リゼリアは静かに書類を机に置き、ゆっくりと立ち上がった。
「私は勇者として魔王を討伐した。そして投資家として未来を築こうとしている。
その自由を奪おうとするなら、私は戦うわ」
沈黙の中、セドリックが横から口を開いた。
「商会連合の諸君。君たちも知っているはずだ。リゼリアの投資は市場を拡大し、人々に利益をもたらしている。
短期的に見れば目障りかもしれないが、長期的には必ず王都の経済を豊かにする」
老人の眉が動いた。
リゼリアは続けて言葉を重ねる。
「私は対立を望んでいない。もし本当に市場を成長させたいのなら――協力しましょう」
しばしの沈黙ののち、商会の幹部の一人が口を開いた。
「……よかろう。ただし、条件がある」
リゼリアは真剣な瞳で相手を見つめる。
「その条件を、正しく市場に益するものなら受け入れましょう」
会議室の緊張は解けないまま、交渉は続いた。
だがその夜、リゼリアは仲間たちに向かって言った。
「今日は勝負の第一歩ね。数字だけでなく、言葉でも未来を切り拓く。
これも投資家の戦い方よ」
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今日の学び
•投資は数字だけでなく「交渉力」も重要
•自分に不利な条件を押し付けられたとき、毅然と拒否する勇気が必要
•対立よりも「協力関係を築けるか」が長期的な成功を左右する
お読みいただきありがとうございます。
今回はリゼリアが「交渉術」を武器に、商会連合と対峙しました。
投資と交渉は切り離せないテーマですね。
次回、第18話は「株価大暴落! 勇者エルフの決断」です。
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