「第二十四話」《敵国の『国王』》
「かいっち? ちょっといい?」
珍しくヴィンが子供達と遊んでいないと思ったらカイを呼びに来た。
遊びに来ていたハルに断りを入れて、ヴィンの元へいく。
「どうした?」
ヴィンはその問いには、答えずただついてこいと言う。
仕方なくついていけば、ヴィンが寝泊まりしている個室に着いた。
「リア。入るよ」
はて、リアの部屋は別にあるはずだがと少し不思議に思いながらも、ヴィンに促されて入室する。
部屋のカーテンは閉めきれれており、真っ暗だった。その中で一際、輝く板。
「これは?」
「こっちで言う、通信機かな。リアが改造して顔が見れるようにしたんだってさ」
「すごいよな」とヴィンが言えばリアは照れくさそうに頭を掻いた。
「それで? 俺は今から誰に会うんだ?」
「さすが、かいっち! 理解が早くて助かる!」
そう言うと、ヴィンが光る板を操作し始めた。が、うまくいかないのかリアに助けを求めている。
「締まりませんね、ヴィン様。あれほどお教え致しましたのに」
「だって……難しい!」
リアが少し、その光る板を操作すれば、そこに人かげが一瞬映った。
「では、私は外で待機しておりますので」
リアが静かに扉を閉め、出ていく。
「おい。ヴィン。一体、誰に会わせるつもりだ」
「んーとね。よし、できた! おーい聞こえてる?」
画面に砂嵐なようなものが表示され、耳をつんざくような音が部屋を満たす。
『あーー見えてるのか?』
突然、光る板から人の声が聞こえた。
「聞こえてはいるけど見えてない。裏表逆じゃない?」
『ん? こうか? そなたか! アルディアの英雄は!』
画面に映ったのは、ずいぶん陽気な声の持ち主。
「は?」
カイが声を漏らしたのにも無理はないと思う。
そこに映っていたのは、ヴィンと瓜二つの顔だったのだから。カイは、画面に映る人物とヴィンを何度も何度も見比べる。
「は?」
感想はそれ以上でない。画面に映る人物の服装や、後ろの装飾から、いいところのお坊ちゃんであることは見てとれる。
『私の名前は、フィンだ。よろしく頼むよ』
フィン――
「ちょっと待て? フィンってザルガスの国王の名前だよな? 身なりからして、このフィンは国王だろうが……じゃあお前は? 同じ顔をしたお前は何者なんだ」
「わーかいっちが焦ってる」などと言っているヴィン。
『いかにも、私は、ザルガスの国王。それでそこにいる、ヴィンは私の双子の兄だ』
「ヴィンの方が兄……大変ですね」
『わかってくれるか!! 英雄よ! そこの兄は私に国を放り投げて放浪の旅に出たんだぞ? おかげで、私が外に出ることを重臣らが禁止してきおった! 私だって、各地を旅してみたかったのに……! この前だって__」
フィンの話は止まらない。カイはダリスの娘自慢を思い出した。
「ちょっと待てよ? ヴィンお前は王族なのか?」
「そーいうことになるねー。席は置いてあるのか? フィン」
『あるに決まってる! 重臣たちと大揉めして、勝ち取ったからな!』
カイはヴィンにあれこれ無礼を働いたことを思い出す。だが、
「ヴィンならまあ、いいだろう」
というところに落ち着いた。
「それで、一国の王が一般国民に何のようだ?」
『そうそう! 今日は挨拶だけ。アルディアの英雄よ。私たちの提案を受け入れてくれてありがとう。共に子供達の未来を守ろうぞ!!』
フィンの佇まいは、紛れもなく王そのもの。
『ここは、「おー!」というところだろう! ねえ! ヴィン?』
「そーだねえー」
『何? 久しぶりに見た弟の顔は見たくもないって? いいんだよ? 強制送還で国王交代しても』
「俺は自由が似合う! お前も似合ってるよ!」
『そおー? えへへ、じゃねえんだよ!!』
ヴィンとフィンはただの兄弟の言い合いに見える。兄弟のあれそれには身分の違いなどないということが手にとってわかる様子だった。
「ははは……俺は、カイだ。好きなように呼んでくれ」
『承知した。私のことは、呼び捨てで構わない。よろしく頼むよカイ』
「こちらこそ。フィン」
ヴィンが、光る板を片付け、カーテンを開ける。光が差し込み眩しい。
「かいっち! 俺の兄弟に会った感想は?」
カイは少し頭を捻る。
「兄弟は、兄弟だな」
「何だそれー!! リア、入っていいよー」
ヴィンは頬を膨らませ、その頬をリアが突っついている。
リアの行動は不敬罪にならないのか。不思議だが、信頼度によるのだろう。
カイは改めて、感じた。
「失敗は許されない」
と――。
続きも読みたいと思っていただけましたら、ぜひ、評価、感想等々よろしくお願い致します!
励みになります!
2025年最後の更新となりました。皆様どのようなお年をお過ごしになられましたでしょうか?
私は、七月からこの小説を投稿し始めまして、様々なことを経験いたしました。伸び悩む日もあれば、爆発的に伸びて驚く日もございました。また、私は現在高校2年生ということもありまして、そろそろ受験という立場におります。
改めまして、2025年お世話になりました。
どうぞこれからも、「畸人0.1号」並びに「戦勝国の敗将」をお楽しみください!!
次回の更新は
2026年1月9日(金)18時00分
です。
良いお年をお迎えください
またのご来場をお待ちしております
畸人0.1号




