「第十四話」《『居候』の連れ》
「かっ、カイさん!! いつの間にあんな美人を捕まえたんだよ?!」
ルカが息を切らしながら駆け込んできた。
「今度はなんだ……」
つい先日、ヴィンがやって来て居候を始めたばかりだというのに。また、何か起こったのか。
「いいから! 早く来て! 『アルディアの英雄、カイ様はいらっしゃいますか?』って聞かれたんだよ!」
「それで?」
ルカに手を引かれ、そのまま案内される。
「とにかく! すっげえ美人がカイさんのことを待ってるってこと!」
ルカの早口に、カイは情報を整理しながら頭を捻った。残念ながら、カイの知り合いにとてつもない美人はいないのだ。いや――いると言っておこう。あの、鬼上司に怒られてしまう。
「ほら! あそこ! あの女性!」
目を向けると――
「……これは」
一瞬、心臓が止まった気がした。
そこには息を呑むほどの美人がいたのだ。
透き通る肌、風に揺れて宝石のようにきらめく髪。
その髪が、光を受けて、美しい音色を奏でているような気がした。
女性がペコリと頭を下げると、カイも思わず会釈を返してしまう。
「えっと、ご用件は?」
挙動不審になってしまうのも無理はない。
花よりも美しく――
いや、彼女と比べられる花が気の毒になるほどの美しさ。
「初めましてカイ様。こちらに、ザルガスから来ました、"ヴィン"と名乗る者はいらっしゃいますでしょうか?」
「あ、はい。いますが……呼びましょうか?」
敬語が口をついた自分に、カイは内心戸惑った。
「いえ、その必要はございません」
その女性は、肩幅に足を開き、地面をぐっと踏みしめる。大きく息を吸い込み――叫んだ。
「ヴィン様っ!! 今すぐ出てきなさい!!!!」
どこからその声量が出るのか。カイとルカがポカンと見つめるしかなかった。
その声に反応したのか、裏手から猛スピードで走ってくるヴィン。
「よお! リア! やっと着いたのか!」
「なんですか、ヴィン様。私を置いて宿から消えて、そこから一切帰ってこず? その挙句、カイ様のところに居候していると手紙を出してきて……しかも、その手紙に場所は書かれておらず。私の苦労、分かりますか?!」
女性――リアの顔は笑っているようで笑っていない。背後には炎が立ち上がりそうな――鬼の形相。
リアはヴィンをその場に正座させる。
だがヴィンは、笑みを絶やさない。
「聞いておりますか、ヴィン様!」
「聞いてる! リアは優秀だもんな!!」
「なっ……」
カイは心の中で呟いた――リアはちょろい、と。
作戦なのか何か、それも気になるが、素でこれならばヴィンには敵わないなと思った。
「優秀」
その言葉だけで、声を止め、頬を赤らめた。今まで女性に触れたことがないカイでも、はっきりとそれが分かる。
「まぁまぁ、お二方。ここじゃ何ですし、中へどうぞ。いいよね、カイさん?」
「あ、あぁ、まぁ……」
ルカの圧に負け、カイは中へ入れることを押し切られてしまった。
㊗️2000PV突破!!!
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今後とも、更新を続けてまいります
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次回の更新は
2025年10月17日(金)18時00分
です。
またのご来場お待ちしております
畸人0.1号




