TEXT7:新たなアジトに乾杯
さて、アルファを海市蜃楼の横浜支部より盗み出して二日後、ヤタガラスの新宿支部では、オーナーが頭を抱えながら美琴を見ていた
「・・・なんだその大型犬は」
「例のデウスロイドです~・・・・」
「・・・明らかに俺を敵認識して今にも襲い掛かってきそうなんだが?」
苦笑いを浮かべるオーナーの目線には美琴を背後から抱きしめ今にも襲い掛かってきそうな勢いで睨みつけてくるアルファと、その横でやれやれと言った表情でくわえタバコをしながら挑発的な笑みを浮かべているツヴァイの姿だった。
「悪いなオーナー。このアルファ〝坊や〟、神結システムがかなり中毒になったらしく・・昨日から離れたがらねぇんだわ」
「坊やだァ?・・・黙ってろキザホスト。俺の本能がこいつを求めてるだけだ。それの何が悪い」
「ッは・・・言っとくがソイツは俺がもう予約済なんだよ。お前には貸してるだけ・・わかったか?筋肉嫉妬達磨が」
「・・・・てめぇ・・・・」
今にも一触即発な二人に美琴が慌てて声をかける
「喧嘩すんなっての!!アンタら本気で暴れたら新宿支部がぶっ壊れるわ!・・・・すみませんオーナー・・・」
「・・・・お前あれか?なんかデウスロイドの中枢機関バグらせる依存物質でも放ってるのか?」
「んな人を麻薬みたいに!」
「まァいいや・・・ほれ、」
深いため息をつけばオーナーはポケットから鍵を出すと美琴に投げつける
「ヤタガラスからの報酬だ。・・・・新しいアジトの鍵な」
「おぉ!新住居!やったね!」
鍵を受け取り喜ぶ美琴にオーナーは葉巻の煙を吐き出すとアジトの地図を出した。
場所は新宿のど真ん中に建てられたデザイナーズマンション。しかしその内部はヤタガラスの技術が詰め込まれた使用になっている。
白と黒を基調とした外観に黒のフレームのガラス張り。近所からは芸術家の住まいと言う隠れ蓑付きの使用に美琴の目はさらに輝きを増した
「ありがとねオーナー。・・・・恩に着る」
「へっ・・・だったらあの憎たらしい三社に一泡吹かせてくれよ?それが日本を再び独立国家にを掲げる・・・俺たちヤタガラスの願いなんだからな」
オーナーの言葉に美琴は静かにうなずき腰に携えた黒涙を撫でる。
あの大戦にて自分からすべてを奪った三社、
プロメテウス、ヴィクター、海市蜃楼
その三社を潰してこそ自分の願いは達成されるのだ。・・・そして
「・・・・この神結が達成された時こそ、二人にすべてを返すことができる。」
自分のうなじを撫でて美琴は静かにつぶやく
食われるのは、自分のほうなのだと。