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ANGEL EATER  作者: 平藤夜虎
NEST編
6/22

TEXT6:会議は踊る

翌日、AМ10:00 アメリカ、ニューヨーク州プロメテウス本社10階、メインリモート戦略中枢室(ストラテジック・コア)にて



《ではこれより、プロメテウス、ヴィクター、海市蜃楼による三社会議を開始いたします。》


無機質なAI音声が白い部屋の中に響く。大きな円卓の中央にはプロメテウス社のCEО、【エイブラハム・プロメテウス】が静かに皮づくりの椅子に座ったまま無機質な瞳を集まった人物たちに向ける



「・・・・・時刻通りか。では、会議を始めるとしよう」



プロメテウス社CEО、エイブラハム・プロメテウス。


あの大戦の勝利国であり元米軍の兵器開発にも携わっていたという異色の経歴の持ち主である。齢69でありながらもその冷酷な眼差しは衰えていない。そしてそんな彼の隣には黒いロングコートにシャツとスラックス。そしてその背中には一対の刀を携えた黒髪にくすんだ赤い瞳のデウスロイドが佇んでいる。



「えぇ、そうね。こちらも貴方に少し言いたいことがあるんですのよ?Mrエイブラハム。」


いら立ちを隠せないような声色が聞こえ、エイブラハムがそちらを見ればチャイナドレス姿に黒髪を後ろでまとめ上げた海市蜃楼の女帝、【蜃丹韻(シェン・ダンユン)】が不機嫌そうに声を荒げた。



「ニュースをご覧になりまして?昨晩ウチの横浜支部の工場が荒らされましたの。あの憎たらしい亡霊のせいで・・・」


「・・・何が言いたいのかな?Msシェン。」


睨みつけてくる丹韻にエイブラハムが静かに尋ねると彼女のそばに控えてい金髪にタンクトップ、金の虎が刺繍されたカーゴパンツに褐色肌のデウスロイドが声を荒げた



「呆けるんじゃねぇぞ老不死(くそじじい)が・・てめぇの所から逃げ出した〝負け犬〟が亡霊とともにウチの工場ぶっ壊した挙句・・・・あの〝失敗作〟まで盗み出したんだよ。」


「こらこら、ベータ。プロメテウスの代表に失礼だぞ?」


ベータと呼ばれたデウスロイドを丹韻の傍に控えていたもう一人のデウスロイドが静かに諫める。黒髪を後ろに流し、水の揺らめきのようなグラデーションの唐装を身にまとい穏やかながらも覇気を纏わせている彼にベータは舌打ちをすると黙り込んでしまった。


「ありがとうデルタ。・・・・・ベータの言った通りよエイブラハム。あの亡霊・・うちの支部を一つ潰した挙句、地下に監禁していたウチのデウスロイドを一体盗み出したのよ!?」


「・・・その傍らにはそちら側の機体・・元02番が付き従っていたと報告も上がっていました。」


丹韻、そしてデルタの言葉に今度はエイブラハムの傍に控えていたデウスロイドが静かに口を開いた



「・・・・・アレは俺が必ず破壊する。〝アインツ兄さん〟の手を煩わせはしない。」


「相変わらず、刀のように鋭い視線だね【ドライ】・・・ところで、その兄さんは居ないようだけど・・・」


首をかしげるデルタにドライは深いため息をついた


「・・・・俺も声をかけたんだが・・・まったく反応をしてくれなかった。・・まぁ、いつもの事だがな」


「構わん。・・・・・アインツはあのままで良い。・・・」


「・・了解しました。CEО」


エイブラハムの言葉にドライは静かにそう返すと先ほどから黙っていたもう一人が静かに咳払いをする。



「・・・・敵は互いに共通している。ならば急ぎ本拠地をたたくべきでは?」


ブラウンのスーツに白衣を羽織り、神経質そうな眼鏡の男にエイブラハムは静かに語りかけた


「・・Mrベルンハルト。」


「くだらない会議ならば私は退席したいのだが・・・調整などもまだ控えているからな」


ヴィクターグループ代表、ヴィクター・ベルンハルト。先の大戦勝利国であるドイツの元陸軍少佐でありエイブラハムと同じく兵器開発に携わっていた人物。そしてその傍らには一体のデウスロイドとマキナロイドが控えている


「悪いなMr。ウチの代表は知識量はドイツトップクラスだがいかんせん神経質なのが玉に瑕でね。」


傍に控えていたデウスロイドが声をかける。ミリタリスーツ風ジャケットに防弾使用のロングコートを羽織り腰に携えた無骨なホルスターには大きな拳銃が二丁収められていて、サングラスから覗く切れ長だが眠たげな瞳とシルバーフォックスをおもわせる口ひげと顎鬚がどこか色気を誘った。


「マックス叔父様ったら・・またそんな風に・・」


そんなデウスロイド、マックスの様子にヴィクターのそばに控えていたまるでビスクドールを思わせるような見た目にゴシックなドレス姿のマキナロイドは困ったように溜息をついた


「あまりお父様をいじめないで差し上げて?昨日も寝てないのだから」


「・・・口を閉じろフランチェスカ。マックスも軽口を叩くな。」


「ごめんなさいお父様。・・・淑女らしくしていますわ。」


「わかったよオーナー。やれやれ・・・」


その様子にエイブラハムは静かに腕を組み声を漏らした




「・・・・天使食らい、か」



部下より「」提出されたデータを見ながらそう興味のないような声色で呟く。命を数式で捉え、効率と抑止力を絶対とするこの男にとって天使食らいなどただの雑音にしか聞こえないだろう。


だが、もしこの異質な存在がこちら側に牙をむいてくるならばやることなど決まっている




「ーーーー 小さなノイズであろうと、いずれ排除はしなければな。」


















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