TEXT51:BLADE ARTS
技術や経済発展では遅れを取る日本ではあったが、唯一他国に負けない技術がある。
ーーーー 剣術。
その超人じみた卓越した技術に多くの海外メディアは『まさに神域の技』『化け物のソレだ』と簡単の声を漏らすばかりだった
・・しかし所詮は人間の体。限界と言うものは必ず存在する。いくら技術と鍛錬を磨こうとも怪物クラスには誰も到達できないだろう。
ーーー なら、こうも考えられる
怪物がその剣術を極めたら?と
「吠えるなよ!!プロメテウスから逃げた野良犬風情が!!!」
ツヴァイの挑発にドライがロングソードを構えて鋭い斬撃を繰り出していく。プロメテウスの精鋭部隊。ナンバーズの一人であるデウスロイドの鋭い剣捌きがツヴァイに襲い掛かったが
「ーーーーー 止まって見えるんだよ。」
必要最低限の動きでソレらを回避して一瞬で懐に潜り込めば一気にドライの喉元めがけて切っ先を突き上げるが、寸でのところでその一撃を躱された。
「くっ!?」
剣をふるう際に私情を込める・・まぁ別にいいだろう。
しかし、傲りを持って剣を振るう事こそ己が弱い存在であるとひけらかすようなものなのである。
「どうした負け犬。俺の首を取るんだろう?なんのためにわざわざ急所を晒すハンデをしてやってると思ってんだ」
ーー 挑発。
煽るようにシャツの胸元を開けてくいくいと指を動かせば、先ほどまで不遜な色を宿していたドライの瞳に怒りの炎が灯るのが見えた
「ほざけ!!」
鋼が交わり、刃鳴りが散る音が木霊する。逃げ惑う通行人たちの中、美琴だけはしずかにその様子を眺めていた。
「あ、あああれぇ??」
先ほどまで美琴にチェーンソーを向けていたファイブ自身も、明らかに圧されている兄弟機、ドライの様子に戸惑いを隠せないでいた。
「な、なんでぇ?・・・ツヴァイ兄様があんな・・う、うそだぁ・・・嘘嘘嘘!!おかしいでしょこんなのぉ!!」
声を荒げるファイブを他所に、神結システムを起動したまま美琴は小さく笑みを浮かべる
どうやらファイブのデータベースには過去のツヴァイしか存在していないらしい。
「ーーーーー 何もおかしくなんかない。」
そう。なにも可笑しい事なんてない。
あの日、この世界に牙を向くと決めてから
ツヴァイと出会ったあの雨の日から
互いに牙を研ぎあいここまで来たのだから
「誰も、私とツヴァイを止める事なんてできない!!」
翳された右手に力が漲る。
「ツヴァイ!!」
声を上げた美琴に、ツヴァイの口元に狂暴な笑みが浮かぶ。
「ーーーー 了解。」
つば競り合いから刃が離れた瞬間。姿勢を一気に低くして居合抜きの構えを取った。
「なっ!?」
「これが俺の・・・・・燕返しならぬ、燕落としさ」
そして、まるで音もなく
それこそ空を飛ぶ燕を肉食獣の爪が大地に落とすように
ツヴァイの持つ刀の切っ先がドライの片腕を切り落としていたのだった。




