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ANGEL EATER  作者: 平藤夜虎
海市蜃楼編
37/47

Text37:それはもはや猛毒のように

デウスロイドは人間じゃない。


確かに、従来の高機能AIよりも遥かに高く、人間らしい機能を求められた存在ではあるが


それでも、デウスロイド(彼等)やマキナロイド(彼女ら)は人間などではない


心など、魂など存在しないのだ



ーーーー 果たして、それはそうなのだろうか



『アAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA゛!!!!!』


騒然とするアリーナにて響く二体のデウスロイドの絶叫に三雲達があっけに取られていたその時だった



「ぎゃぁああああああ!!?」


なんと、デルタがリングアナウンサーの肩口に嚙みついたのである。


「な、なに⁉何が起きて・・・・」


困惑する美琴を見てツヴァイとアルファは顔を見合わせうなずく。するとそのまま美琴の体をツヴァイが姫抱きする。


「話はここを出てからだ、マスター。・・・目ぇ瞑っとけ」


「な、なにをさっきから・・・」


抱きかかえられたまま美琴がふと観客席に視線を向ければそこはもはや阿鼻叫喚の地獄と化していた


「ーーーー え」


いつからそこに居たのか、否。おそらく地下に格納されていた愛玩用デウスロイド達だろう。


そのデウスロイド達が、観客を襲っていたのだ


「や、やめろぉおおおお!!!この化け・・ぎゃあああああ!!!」


男性の観客の腕を引きちぎり、腸を割き、その中に収められた臓器を食らうデウスロイド



「いやぁああああ!!!だ、だれか助け・・・・」


服を引き裂かれ、複数人のデウスロイド相手に〝世にもおぞましい行為〟をされている女性の観客



ーーーー なんだ、これは


困惑する美琴の脳内にはここにいるデウスロイド達の情報がじわじわと流れ込んでいく


【ゆるさない】【ゆるさない】


【人間になりたい】【どうしてお前たちだけ】


【こども】【こども】【中にだして】【おれたちのこども】



「ーーーー あ、あ」


何も言えず、脳内に響く無数のデウスロイドたちの〝意識の叫び声〟に美琴は頭がおかしくなるような感覚に蝕まれそうになる。しかし、ソレはツヴァイの指からうなじに放たれたスタンガンのような電撃により回避された


「っあ!!・・・・、」


「悪いなマスター。緊急事態のため少し強引に連れていくぞ!!!」



腕の中で気絶した美琴を抱きかかえたまま、ツヴァイは小さく声を漏らしてアルファを見た


「悪いな坊や!!てめぇの復讐うんぬんじゃなくなった!!」


「チッ!!わかってる!!とにかくここから出るぞ!!」


ツヴァイの言葉にアルファは急ぎ両手に嵌められたガントレットをパイルバンーカーモードに切り替えれば壁をぶち破り急いで脱出を試みた


「・・・しばらく時間はあの馬鹿どもが稼いでくれるだろうぜ」


薄暗い廊下を走りながら用務員用のエレベーターに乗り込みボタンを押せばそのまま一階へと上昇していく。無機質な音が響く中で美琴を抱きかかえたまま、ツヴァイがアルファに尋ねた


「・・・・で、ありゃなんだ。坊や」


「暴走CHORDだっつたろ。」


ツヴァイの言葉にアルファは吐き捨てるようにそう言葉を返せば天井を見上げる


「・・・・本来は大戦で採用されるギミックだったらしいがな。あまりにもヤバすぎるってんで廃棄されたはずのCHORDだったんだが・・あのババア、残していやがったか」


「・・・・・」


暫し、重い沈黙が流れる。


あの場に居たデウスロイド達の慟哭を聞いていたのは美琴だけではない。もちろん、ツヴァイやアルファのデータにもあの声は届いていたのだ


「・・・・・人間に、か」


「おい、なにらしくねぇ事呟いてやがる」


「そういうお前もひどい顔してるぞ坊や・・・」



ーーー 人間でもない、中途半端な存在。又は、〝まったく違う生命体〟


それがデウスロイドやマキナロイドの現状なのだ


「・・・・感情を持つな、か」


腕に抱いた美琴の頬を撫でてツヴァイはぽつりと呟く。


すると、ふいにアルファがだらりとなったままの美琴の足を片方掴む。・・・まるで、お前だけのモノじゃないと言わんばかりの鋭い眼光が突き刺さる



「・・・・小せぇ足だな・・うっかり折っちまいそうだ」


「・・・・・おい」


「うるせぇな。俺がやるわけねぇだろうがホスト野郎」




そんな事を言い合いながら、開かれたドアをむりやりこじ開ければツヴァイとアルファはそのまま車を止めていた場所まで走っていった。














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーー


「あーあ・・・残念。」


爆発音が鳴り響き、やがて火の手が上がり始めた桃源城を眺めながら、血まみれの白いタキシード服のアインツはつまらなそうに、〝二つの生首〟を燃え盛る炎の中にぽーんと投げ入れた


「っふふ・・・まぁ、いいか。時間はたっぷりとある・・・また、どこかで会えるよね・・僕の花嫁。」


そう小さく呟けば背中の羽を展開させてアインツは静かにその場を飛び去っていく



・・・・それから数時間後、メディアを賑わせていたのはネオチャイナの要人が殺されていた事


そして、海市蜃楼の代表も何者かの手によって暗殺されていた。という特大記事だった。





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