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ANGEL EATER  作者: 平藤夜虎
海市蜃楼編
36/47

Text36:異変

『決勝戦!!デルタ&ガンマVSツヴァイ&アルファ!!レディー!!!!!』


リングアナウンサーの声が木霊し開戦の合図であるその拳が地に振り下ろされる前その一瞬


「ーーーー 遅ぇんだよォ!!」


ガンマが一瞬のスキを突きアルファの懐に潜りこみその腹に右手をえぐり込ませた


「!?」


「チッ・・・何してやがる坊や!」


舌打ちをし、ツヴァイは【ハーロット&ジャンヌ】をホルスターから引き抜き構えるが、対するアルファは静かに口元に笑みを浮かべたままで


「っ!!?」


そして、すぐに異変に気が付いたのはほかでもないアルファの腹に右ストレートをえぐり込ませたガンマ本人であった


「ガンマ?」


すぐにアルファと距離を取ったガンマにデルタが首をかしげたが、ふとガンマが右手を庇っている事に疑問を抱いた


「ガンマ・・・その右手は・・・」


「クソが・・・アルファの野郎、俺の右手を体内の熱で溶かしやがった!!」


そう叫ぶガンマの右手の指先は確かにまるで高温の金属に触れたかのように溶けていたのだ。アルファを睨みつけるガンマの様子を静かに見つめながらデルタがアルファに声をかける



「・・・・玄塔で、一体何を得てきたんだい。」


その問いかけにアルファは低く獰猛な笑い声をこぼす


あの地獄のような生体実験の日々、その中で本来のデウスロイドにはありえない機能がアルファの体内に蓄積されたのである。


ーー 熱暴走。


従来のデウスロイドであればそんな爆弾を体内に蓄積させたまま生命活動を維持するなど不可能な事である。なによりもマトリクスがすぐに悲鳴を上げるのが当然なのである


だが、アルファは従来より少し頑丈に作られていたデウスロイド。しかしソレだけではない



いや、きっとソレは誰も予測などできなかったのだろう



自分をゴミくず同然に扱い続けた海市蜃楼への復讐。そしてあの夜にこんな自分を助けた奇妙な女との出会い



その二つの歯車がかみ合わさり、己の身を滅ぼさんとするその炎はアルファにとっての強固な武器になったのだ。



「何も得ちゃいねぇよ。ただ、てめぇらをぶっ壊す・・・そう思い続けたまでだ」


両腕に装着されその形を変え復讐の爪が赤銅色に染まる。まさにソレは地獄の炎で鍛えあがられた刃のようで



「手ぇ出すなよ女王サマぁ!!!このクズども全員俺がぶっ壊す!!」


アルファを力強い遠吠えがリング内に木霊する。その様子にガンマとデルタが険しい表情を浮かべた


ーーー だが


【緊急事態発令。緊急事態発令】


突如けたたましいサイレンと共に機械音が鳴り響き始める


「な、なんだ?・・・」


「おいおい、こいつはいったい・・・」


突然の事態に動揺するツヴァイ、アルファ、そして美琴だったが



「・・・・・!」


その時、美琴の目にガンマとデルタが頭を抱えて苦しみだす姿が飛び込んできた


「ぐ、ぁ、あ、ああああああああ!!!」


「ふざけんなあのババア!!よりにも、よって・・あのCHORDを・・っ・・俺たちを捨て駒にする気かぁああ!!!・・・」


その瞬間、ガンマ、そしてデルタの皮膚を突き破り無数のケーブルコードが現れる。両手や両足も皮膚が避け鋭利な刃が飛び出し始めた



「・・・おい坊や。何が起きてる」


「アルファ!!こ、これって・・・」


問いかける美琴とツヴァイにアルファは動じる事はなく、ああやはりそうなったかというような表情で口を開いた



「・・・・CHORD山海経。・・要するに暴走コードを使いやがったんだよ。」

































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