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ANGEL EATER  作者: 平藤夜虎
黒猫編
15/47

TEXT15: 舞踏開始

けたたましい機械音とともに複数の大型二足歩行機械と複数人の武装した人間たちが新宿ゲートを取り囲み、その中央に黒い羽織姿の美琴が静かに立っていた。


「立ち入り禁止、なんだけどなぁ・・・流石は大戦の折に日本の領土に土足で踏み込んで火の海にした国でいらっしゃる~・・・・なぁ。プロメテウス社」


眼前に立つ大型二足歩行機械【ガルガンチュア】と銃を向けてくる特殊部隊、そして


こちらに殺意を向けてくる二体のデウスロイドに美琴は静かに語りかける


「・・まさかの10の兄弟機(ナンバーズ)を差し向けてくるあたり、よっぽど〝あの二人〟が目障りなわけだ」


そう美琴が尋ねるとゴスロリ服に身を包んだ中性的な顔立ちのデウスロイドが声を荒げた


「盗人の分際で偉そうに!!」


「・・落ち着いて、〝イリス姉さん〟。・・」


その横に立つ静かな佇まいとは裏腹に両足に金属の武装をしたデウスロイドが諫めるが、イリスと呼ばれたデウスロイドは美琴を睨みつけながらさらに語りだした


「任務はもちろん遂行するわよ、〝テンペスト〟・・・でもね・・・私は許せないの。ええ、そうよ・・・この女だけは許せない!!許せるわけがないわ!!」


「・・・・・」


「あの〝黒獣の夜〟の後・・・兄様はおかしくなったのよ。・・プロメテウスに入れば・・ずっと私たちの〝理想のツヴァイ兄様〟で居てくれたのに!!」


イリスの言葉に美琴は静かに目を瞑り深く息を吐く。なるほど、この弟たちにとっては〝無慈悲に任務を遂行する冷酷無比〟な兄が望みだったのだろう。


「・・・何も見てないくせによくもまぁ。」


「なんですって?・・・」


「・・・そのツヴァイ兄様の〝本当の部分〟に気づかなかったくせに。」


美琴のその言葉にイリスは片手を勢いよく上げて傍らに控えるガルガンチュアと特殊部隊に指示を出した


「あの愚か者を撃ち殺しなさい!!!」


ガルガンチュアの両手からマシンガンが展開され特殊部隊もサブマシンガンを美琴に構える、しかし銃口から弾が放たれる前に美琴の頭上から炸裂音と共に一発の銃弾がプロメテウス側に放たれ、ガルガンチュアや特殊部隊の動きを止めた。



「っ!?」


「・・・・・誰がお兄様だ。胸糞悪い」


黒いコートをたなびかせ、ゲートの上から飛び降りたツヴァイは両手に構えた愛銃にもう一度弾を装填するとそのまま美琴の前に立ち眼前を睨みつけた


「ツヴァイお兄様!!」


「ツヴァイ兄さん・・・・」


声をかけるイリス、そしてテンペストに鋭い眼光を向けたままツヴァイは答える。


「・・・・俺に〝兄弟〟なんざ居ないし、・・俺はもう二度と〝あの地獄〟に戻る気なんざ無ぇ。」


「お兄様どうして!?なんでそんな奴のために!!・・・・」


そう言いかけたイリスの髪をツヴァイが放った銃弾が掠める。怒りに燃える氷の瞳を横目で見ながら美琴は小さく笑みを浮かべると右手を前にかざした


「・・・ありがとう。ツヴァイ」


なら、その覚悟と怒りの冷たさに自分もこたえなければいけない。そう思い美琴は声を上げた



「ーーーー 神結システム。」


美琴の声に反応するかのように、美琴の項から電光が走るとそこからまるで羽のように広げられた小さなパラボラのような物が現れる。


「・・・さて、クソ兄弟共。〝ダンスの時間〟としゃれこもうか」


愛銃を構え、獣のような笑みを浮かべたツヴァイに美琴が呟く。



「ーーーー CHORD:死の舞踏(ダンスマカブル)。展開開始。」













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