TEXT14:襲撃
翌日、ヤタガラス新宿支部アジト内。
「・・・ご迷惑おかけしてしまい、すみませんでした」
オーナーの応急処置などが功を奏したらしく、目を覚ました要は朔の傍に寄り添い美琴たちに頭を下げた。
「改めて・・・東雲龍樹さんのお孫さんの、要ちゃんであってるかな」
「・・・はい」
美琴の言葉に要は静かにそう答えるが、その瞳はまだ警戒心で揺れている。
「・・・警戒するのは確かにわかるよ。けど、私たちは龍樹氏のお孫さんである君と朔を霧島代表の元にまで送り届ける大切な役目があるんだ。そこは信用してもらいたいな」
「!・・・直さんが?」
「あ、やっぱり知り合い?」
「・・・祖父が亡くなるまで、よく勉強などを教えてもらってましたので・・」
美琴の言葉に要はそう言葉を返して朔の腕を少し強く掴む。中々警戒心を解いてくれない様子にさてどうしたものかと頭を悩ませているとオーナーがどこかに出かける支度をしながら美琴に声をかけてきた
「ーーー 出番だぞ。天使喰らい」
「出番?」
「偵察ポッドが複数人の武装部隊と〝デウスロイド二体〟が新宿ゲートに侵入したのを捉えた。」
オーナーの言葉に緊張感が走る。朔が要の体を抱き寄せ目つきを鋭くさせた。
「幸いな事にウチのアジトはまだバレちゃいねぇ。・・・ゲート半径3メートルから先に踏み入らせるな。」
「了解。で?・・・デウスロイドが二体居るってことは?どこ?」
「ーーー 〝プロメテウス社〟だ。」
オーナーの口から出た言葉に、皆の顔つきがさらに鋭くなる。その中でも美琴と共にひときわ強い殺気を放つ存在が一人。
「ーーー ツヴァイ」
「・・・・・」
口に咥えられた煙草の煙が狼煙のように天井に消えていく。ツヴァイはホルスターの愛銃に弾を込めるとオーナーに尋ねた
「・・・・なァ、オーナー。・・そのデウスロイドのどちらかは〝不気味なくらい白く〟なかったか?」
『・・・ツヴァイ?』
「いいや。片方は〝派手なゴスロリ服〟で片方は〝両足にごつい装甲〟つけた個体だったな」
「・・・・そうか。」
オーナーの言葉にツヴァイはそう言うとコートを翻し外へ向かおうとするがその肩をアルファが掴んだ
「おい女王サマ。」
「・・・・・」
「てめぇ、〝何か隠して〟んじゃねぇだろうな」
「・・・服が伸びるだろうが。離せ」
「なんだとテメェ・・・」
「こらこら!ストップ!」
今にも掴みかかろうとするアルファを慌てて止め、美琴は腰に刀を携えたまま要と朔を見た。
「信頼の証になるかはわからないけど・・今からちょっと撃退してくるわ!」




