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柏崎美波の英雄譚  作者: 湊
5/5

1-3.『0』はようやく、『1』を手にする。

2月1日0:30

ははっ!やっばいです。体が自由に動きまくります。

本当に自由になったみたいに!前までの腰の痛さが嘘のように!


それにこの壁、さっき彼の攻撃をものともしないまるで鉄壁の壁!面白すぎます。

今私は自由です!


「お前、すごいな」


パワーエッジさんが話しかけてきました。でもめちゃくちゃ離れてます。

線路一つ挟んでます。声ちっさいです。


「どうしてそこまで動ける」


「さあ?」


「ふざけてるのか?もしかして、警察のやつらの仲間か?」


はぁ?


「警察ぅ!?彼らは家もお金もない私の生活保護の申請を断った奴らのことですか?『本当に助けてください。死んでしまいます』と言ったら鼻で笑った警察のことを言ってるんですか!?」


「...すまん、だがならばなぜそこまでの力を手に入れた」


「知りませんよ、記憶ないですし」


「はぁ?」


「私、記憶がないんです。気が付いたら橋の下で倒れてました。なので本当の名前も知りません。柏崎美並は、勝手に思いついて名乗ってる名前です」


これは本当です。私はずっと記憶がなくてさまよっていました。

目が覚めたのは、1年前、目が覚めた後に移ったのは、橋の柱にある落書きと、かもめたちの大群だけ、一般常識以外は何もかも忘れていて、ずっとさまよっていたものです。

警察に捕まったこともありました。なぜか釈放されましたが。


「...そんなひどい目にあっていたのか」


おや?パワーエッジさんが泣いてくれてます。あれはガチ泣きしてます。マジのやつです。


「それなら俺たちとともにこい。お前も味わっただろ。怠惰の果てにできたこの世という『地獄』を」


「地獄?」


「そうだ、俺たちはずっと味わってきた。俺たちはずっと『障がい者』として扱われてきた。

価値観が違う相手を社会はどうするかわかるか?無視するんだよ」


「むし?」


「そうだ、まるで目に入っていないように、俺らだって人間だ。無視されれば傷つく。だがな、俺達だって変わろうと必死に生きているんだ。少しずつ悪いところを直して、誰かに迷惑をかけないように、なのに!!あいつら健常者共はこういうんだ!『俺たちは区別しているだけだ』って!!!」


「はぁ」


「区別だと?あれが区別なのか!無視することが区別なのか!!奴らがやっていることは、ただ自分の嫌いなものに向き合わず!ただひたすら『見ないふり』をしているだけだ!俺達はずっと自分自身と嫌いな他人と向き合ってきたのに!あいつらは!まるで何も見ずに!のうのうと幸せそうに生活してるんだ!許せるわけがない。だから俺たちは!」


「しりませんよ。そんなこと」


本当にうざったい理論だ。こんなもの、お前らが他人が下衆でただただ不快な事という現実を無視して、こいつはいい奴のはずだという理想を他人に押し付けた結果だというのに。」


「なんだと?」


おっと、声に出てしまっていました。まあこのまま言っちゃいますか。


「私はね、あなた達が世界を滅ぼそうが、そこに新しい文明を作ろうが、別にいいと考えています。貴方たちに協力もしていいと考えていました。でも、今は違う。貴方達はまるで芯が通っていない」


そもそも、交渉するのに、線路を1つ挟むとかふざけているのか?やる気あるのか。そういうとこだぞ。


「大体、貴方達はこの世界が『地獄』と言っていましたが、なぜこう考えられないのですか」


私は、天で光り輝く月を指さす。今日の月は満月で、よく見える日だ。


「ここを笑える『地獄』にしよう。と」


「笑える、地獄?」


「地獄でも笑っている者はいます。鬼、悪魔、あとは...地獄でも自由に生きるもの。私はそれでいたい。自由でいたい。好きな時に寝て、好きな時に食べたい。そして、朝目が覚めてこういうのです。『ああ、今日はいい天気だ』と、それだけで私は幸せを感じられる。それで笑顔になれる。だから私にとってここは、笑える地獄です」


そう、私はここが、楽しい地獄であればいい。笑えればいい。だからこそ、人が世界を壊そうが、ここが世紀末になろうが、関係ない。今私が笑えればいい。だが、


「貴方は、この世界を人がいない『地獄』に変えた後のことを何も考えていない。ご飯の作り方も、家の作り方も知らない。それなら私は笑えない。だからあなたの話はお断りなのです。私には得がない。」


「そうか...残念だ」


おっと、線路からまたこちらに来ようとしてます。サイのような突進ポーズです。


「おい!!柏崎美並!これを使って!」


少し離れたところで、海霊さんが何かを投げてきます。っと!?危ない危ない、ギリギリキャッチしました。というか彼女たちまだ逃げてないんですか?ってこれ。


「クロスボウ?」


「あなた銃必要なんでしょ?これを貸してあげる!少し違うかもしれないけど我慢して!」


いや、いいですよこれ!!めちゃくちゃ使いやすい!というか元々一本刺さってるのが丁度いい!玉切れの心配もないし、的に合わせやすい!


「御託は終わったか!?さっさとくたばれ!!」


おお!!サイの突進ポーズをしてた人が走り出した瞬間こっちにワープしてきました!どんな原理なんでしょう。結構面白いですね。でも!


「甘いんですよ!どれもこれも!」


全力ジャンプで躱せる!


「はぁ!?なんなんだこいつ!」


そう!こいつはポケットから携帯を取り出した!つまりこいつの汽車のような恰好は皮膚組織が変形しているようなものではなく、たんなるアーマーのようなもの!ならば


「可動域が弱点なんですよね!」


首はダメだ。殺してしまう!明日私が気持ちよく起きるために、殺しはしない!狙いは。足の可動域の部分!こいつの足の関節!見えた!


「チェックメイトです!」


「!?しまっ」


思いっきり、引き金を引く!うおぁ!?めちゃくちゃ反動ある!?

ものすごいスピードで放たれた矢は、足の関節に直撃した。その反動は、彼の意識を持っていくのに十分だったようだ。


「ぐああああああああああああああ!?」


ものすごい悲鳴を上げた後に、彼は倒れた。


...拝啓お母さま、久しぶりに喧嘩をしました。ただ結構ファンタジーな感じの喧嘩でしたが、だが一つ問題があります。


「これからどうしましょうか」


どうやら私はとんでもないことをしてしまったかもしれません。

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