第9話 別れた空間 〜真気〜
「アハハ、キミガボクノアイテ?」
真気に声が聞こえる。
その方向を見ると、そこには肌の色が青紫の少年がいた。
右目はなく、そこから血が出ている。
「へー、霊か」
「ボクノコト、コワクナイノ?」
「バーカ、霊が怖かったら霊伐隊なんかやってねぇよ」
真気がそういうと、目の前にいる少年の霊は笑う。
「レイバツタイ!? ヤッター! レイバツタイトアソベル!」
少年はまるで『友達と鬼ごっこをする』ように無邪気に言う。
もちろんそんな少年に、真気は警戒を解かない。
「ボクカライクヨ!」
少年はそう言い、真気の目の前に高速で近づく。
気がついたら少年の手には、血まみれのナイフが握られていた。
そのナイフで真気に斬りかかっている。
「チャンバラ! タノシイ!」
「は? 俺まだ抵抗してないよ? 一方的に攻めて楽しい?」
「タノシイ二、キマッテルジャン!」
少年は高い声で言うと、動きを止める。
すると、少年の周りに数本のナイフが現れる。
しかもそれは宙に浮いている。
次の瞬間、それらのナイフは高速で真気に向かう。
「……めっちゃ弱い技だな」
真気はナイフを全て躱し、少年に向かって走る。
しかし、少年の前に再び数本のナイフが現れる。
「数に限度はない……?」
真気が独り言を言いながらそれらを蹴り飛ばす。
「ナカナカ、ヤルジャン……」
「俺まだ本気出してねぇぞ? なに『自分が強い』みたいな感じに言ってんだよ。……そんなこと言われたら、本気出すしかねぇな」
真気は少年から離れる。
そして、真気の目が赤くなった。
霊化したのだ。
「レイカ……?」
「おお、霊化のことまで知ってるのか。意外とバカじゃねぇんだな」
真気がそう言うと、真気の前に一つの人影が現れる。
優希だ。
もちろん、本物ではない。
真気がつくった、本物そっくりの『人形』だ。
「お前、さっき『遊べる』とか言ってたよな? 遊んでやるよ。二人でな」
真気の言葉に少年は警戒する。
『今自分の前にいる女がいきなり斬りかかってくるかもしれない』と。
しかし、次の瞬間には少年の首は切断されていた。
優希の人形がいつの間にか刀を抜いており、超高速で少年に斬りかかったのだ。
「お前はな、班長と戦ってるのと同じなんだよ」
真気が言うと、優希の人形は消える。
「……本当に使いにくい能力だぜ……」
真気は死体の前で呟き、歩いた。
やっとバトルシーン出せました!