第88話 電車の任務
「次の任務だよー!」
班長がいつも通り入ってくる。
元気そうだ。
「次は電車だって」
「電車?」
班長の言葉に真気が反応する。
……逆に真気しか反応する人いないか。
今、この部屋にいるのは班長と私と真気だけ。
もう琉璃さんも弘太もいないんだ。
なんでいなくなったのか、詳しくは知らない。
琉璃さんは脚がなくなって引退して、それに合わせて弘太さんも引退したんだと思う。
「そう、電車! なんか行方不明者が続出するらしい!」
「班長……、まさか、この班だけでやるつもりですか……?」
私は班長と真気を見て訊く。
「私たちの班、もう3人しかいないんですけど……」
「あ、確かに……。助っ人呼ばないと」
「わ、私がやりたい!」
班長の後ろからあの声が聞こえる。
班長が私の横に高速移動する。
ドアの前には血花ちゃんがいた。
「血花ちゃん。任務は夜だよ? ちゃんと寝ないと、学校の授業で寝ちゃうよ?」
「だ、大丈夫! 私いつも学校でテスト100点だもん! ちょっとくらい授業受けられなくてもへっちゃらだもん!」
か、かわいい!
必死になって言い訳してる!
ヤバい、動画撮りたい!
「本当に大丈夫?」
「う、うん!」
「じゃ、和生たちに知らせてくるからちょっと待ってて」
班長はそう言って高速移動して部屋から出ていった。
やっぱりいつになっても目で追えない……班長の高速移動……。
……せっかくの機会だ!
血花ちゃんといっぱい話そう!
「ねね、血花ちゃん」
「ん?」
血花ちゃんは私の目を見る。
うん、めっちゃかわいい。
そういえば血花ちゃん、私には毒舌じゃないな……。
班長といっぱい話してるから『坂田柊菜は優希お姉ちゃんの仲間』って思われたのかな?
それはそれで嬉しいけど。
「好きな食べ物、何?」
「ケーキ」
「よし、じゃああとで買ってあげる!」
「! 柊菜ちゃん、ありがとう!」
血花ちゃんは私の腰辺りを抱く。
幸せだ……!
「……めっちゃ居づらいじゃん……俺」
真気がため息をついて私から目をそらす。
なんで居づらいんだろう。
……あ、男の子、真気一人だ。
確かに居づらいね……。
「許可出たよー!」
血花ちゃんの後ろから班長が現れる。
「伝言もあるよ! 『血花が行くなら美魅も持っていっていいぞ』だっ――」
「それだけは嫌だ」
低い声で言う血花ちゃん。
美魅さんのこと、嫌いなのかな?
私もちょっと苦手だけど。
「じゃ、この4人で行くよ!」
血花ちゃん、ケーキ好きだったんですねー!




