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第83話 椿菜とコウ

 コウ……。

 あの男の名前……?


 「……椿菜……生きてたのか……」

 「当たり前だよ。あの程度で死ぬわないじゃん」


 なんか昔にあったのかな……?


 「……まぁいい。お前がここで出てきてくれたおかげで手間が省けた」


 コウと呼ばれた男は椿菜ちゃんに殴りかかる。

 椿菜ちゃんは刀でその拳を防ぐ。


 コウの手からは血が出ていない。


 「お前……榎菜とかと一緒じゃねぇのか……?」

 「さぁ、どうだろうね」

 「一緒じゃねぇとは考えにくいな。榎菜がいないとお前の能力は何の意味も持たないからな」

 「そんなこと言わないでよ。結構傷つくんだから」


 椿菜ちゃんはコウのお腹を蹴り、跳躍する。

 コウはそんな椿菜ちゃんを追う。


 私は何をすればいいんだろう……。


 みんなからは『逃げろ』って言われて、椿菜ちゃんからは『逃げなくていい』。

 どっちを信じればいいんだろう……。


 「柊菜! あいつ、誰だよ!」


 真気が私に訊く。

 あいつって……多分椿菜ちゃんのことかな……?


 「わかんない……でも……私の仲間……」

 「仲間って……。確かに……見たことはあるけど……」


 今の椿菜ちゃんとコウは戦ってる最中。

 二人ともまだ顔には余裕があるみたい。


 「……あいつら……隙がねぇな……」


 和生さんが二人を見てつぶやく。

 確かに、二人とも隙がなかった。


 「とりあえず、逃げるぞ!」


 和生さんが振り向く。

 そしてその場から高速移動した。


 血花ちゃんは少し迷ったあと、和生を追いかけた。


 「柊菜! 逃げるぞ!」


 真気も高速移動する。

 美魅さんは気づいたらいなくなってた。


 私も高速移動しようとした――


 「――柊菜はここにいて」


 誰かが急に私の前に現れる。

 髪が黄色、私に似ている……。


 月菜ちゃん……。


 「もう少しで柊菜がもとに戻る。今はコウの攻撃を耐えて」


 月菜ちゃんはそう言って、地面に手をつける。

 すると、その地面から刀が出てきた。


 鞘、鍔、柄、全部オレンジ色だ。


 「柊菜、これを使って」


 月菜ちゃんは私の目を見つめながら言う。

 私はその刀を拾った。


 普通の刀より短い。

 ちょうど、今私が持ってる白色の刀と同じくらいの長さだ。


 「……熱くない?」


 月菜ちゃんはオレンジ色の刀を見ながら言う。

 全然熱くない。


 「うん……」

 「じゃあ、それであいつを殺してみて」


 月菜ちゃんは私の後ろを指で差す。

 振り向くと、そこには脚が4本あるネコみたいな生物がいた。


 霊だ。


 その霊は私を見てうなっている。

 今にも襲いかかってきそうだ。


 私は今手に入れた刀の鞘を外す。

 刀身もオレンジ色だ。


 私はそれを構えた。

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