第71話 自暴自棄
「……どうしよっか……」
楸菜ちゃんが口にする。
今度は本当に深刻そうな顔をしている。
「多分、この建物は絶対に壊れない。だから『テレポート』とかが使えればいいんだけど……」
テレポートか……。
そんなの使えないよ……。
「この能力はきっと、さっき殺した霊だと思う。『死んだら発動するタイプ』だね」
そんなタイプがあるんだ……。
「……本当にどうしよっかな……。あーあ、月菜ちゃん連れてくればよかったー!」
楸菜ちゃんが自棄になって言う。
そして床を何回も蹴る。
楸菜ちゃんと私、結構似てるから、どう見ても私がダダをこねてるようにしか見えない。
私ってこうなるんだ……。
……? 月菜ちゃんがいればいいの……?
どんな能力なんだろう……。
「もー! すっごいイライラしてきた! 早く帰ってみんなに会いたい!」
楸菜ちゃんがどんどん大声を出す。
そして手足をバタバタしている。
こんなタイプだったっけ……楸菜ちゃんって。
「そういえば私まだ晩御飯食べてない! 今日お寿司食べたいのに! お寿司屋さん閉まっちゃうじゃん!」
お寿司屋さんで食べるんだ……。
みんなで行くのかな……?
絶対四つ子だと思われそうだな……。
「帰ってみんなとゲームしたい! ここから出たい!」
それはみんな同じだよ、楸菜ちゃん……。
「シャワー浴びたいし! 返り血いっぱい浴びたの!」
そっか……楸菜ちゃんも大変だね……。
「あー! 3秒以内にここから出れなかったら怒る! 3、2、1! はい、怒ります! 誰がなんと言おうと怒ります!」
どうしよう……楸菜ちゃんが壊れた……。
そのとき、『バン!』っていう音が響く。
銃声……?
気がついたら楸菜ちゃんは私の後ろにいた。
そして、手にはハンドガンを持っている。
楸菜ちゃんが撃ったの……?
「……あーあ、バカな敵で助かった」
楸菜ちゃんは私の後ろで言う。
さっきと声のトーンが違う。
すると、私の前にハンドガンを持った少年がいた。
どう見ても霊だ。
そいつは胸を撃たれていた。
『ナ、ナゼ……』
「『ナゼ』? 笑わせないでよ。私のあれが演技だと思わなかったの? 3歳児でもわかるよ?」
あれ……演技だったの……?
気づかなかった……。
っていうことは、私3歳児より頭悪いじゃん!
「普通さ、こういう敵の領域であんな行動すると思う? あんな隙がありまくる行動。私をなめないでよ」
楸菜ちゃんは刀を抜き、敵に近づく。
そして、刀を敵の頭に刺した。
「こう見えてもね、私――」
「――六花女神なんだ」




