第67話 あと30秒くらい
敵は私に突進してくる。
さっきより遅い。
あと何分くらいだろう……。
30秒くらいかな……?
……今のうちにやってみたかったことしよ……。
私は跳躍して敵を躱す。
そして敵を覆うように、大量の柊の花を出す。
私はそれを確認してから、着地する。
そして、その柊の花を全て氷の刀にする。
洋服の霊のときの戦いでやったやつ。
氷の刀は敵の身体に刺さっている。
敵は苦しみながら、私に向かう。
しぶといな……。
私はまた跳躍してそばにある電柱の上に立つ。
敵はそんな私を睨んでいる。
どうやってここまで来るのか考えてるのかな……?
そのとき、敵は何か叫び声を上げる。
すると、敵は動かなくなった。
……勝った。
私は校舎にある柊の花を全て消し、教室に向かう。
教室の中には班長と真気と血花ちゃん、生徒がいた。
生徒の中には気絶している人やおびえている人もいる。
璃音ちゃんもおびえてるな……。
「えっと……班長、討伐完了しました」
「おお、お疲れ。今回柊菜ちゃんしか活躍しなかったね」
「そ、そんなことないよ! 優希お姉ちゃんも最初は敵を粉々にしたし……」
必死に言ってる血花ちゃん、かわいい……。
「いや、みんな活躍してたな。俺以外は」
真気……真気……。
確かに、今回は真気活躍してたかな……?
「助っ人呼んできたよ!」
窓の方から彩希おばさんの声。
振り向くと、彩希おばさんと男の人がいた。
……って、この人―――
「あ、和生じゃん!」
私の代わりに班長が言った。
男の人は和生さんだった。
「霊はどこだ!?」
和生さんは辺りを見渡す。
もちろん、霊の死体は外にある。
「え? ああ、ごめんね。柊菜ちゃんが倒しちゃった。ここまで来てくれてありがとー」
「! はぁ!? 授業抜け出してきたんだぞ!?」
「へぇー、何の授業だったの?」
「物理の実験だよ! 急いで来たから、実験室の中をめっちゃ速いスピードで移動したんだぞ! 試験管とかフラスコとか全部割れたんだぞ!」
試験管とフラスコか……。
全部割ったんだ……。
どんな風に走ったら全部割れるんだろう……?
気になる……。
「え? マジ!? じゃあ弁償じゃん!」
班長は爆笑する。
「全部割ったんでしょ!? じゃあ何円するの!? 今月の給料の何割!?」
班長はとうとう涙を流して笑う。
給料の何割って……班長クラスの人の給料って結構高いよね……?
100万とか普通に超えてそう……。
でも和生さん、弁償しなきゃいけないのかな……?
かわいそう……。




