第66話 彩希の殴り
……! 何これ……!
心臓が苦しい……!
心臓が……握りつぶされてるみたい……!
「――帰」
彩希おばさんがつぶやく。
その瞬間、私にあった苦痛が消える。
手も治ったみたい。
「柊菜ちゃん、痛みは?」
彩希おばさんが私に訊く。
彩希おばさんの目が赤い……。
霊化してる……。
「あ、もう……大丈夫……」
「そっか」
彩希おばさんは満面の笑みを浮かべる。
「柊菜!」
真気が私に近づく。
左腕から血が流れてる。
「アイツ、ヤバいぞ!」
ヤバい……?
私は敵を見る。
ワニみたいなやつが班長に襲いかかっていた。
……あれ……?
アイツはどこにいった……?
「班長が一回あいつを粉々にしたんだけど、アイツ、復活しやがった!」
復活……?
「だから――」
真気が私に話している途中に、その場から高速移動する。
すると、敵がこっちに突っ込んできていた。
私もこの場から高速移動し、真気の隣に行く。
彩希おばさんも私の隣に来ていた。
それよりも、アイツ……速い……。
「助っ人、呼んでくる?」
彩希おばさんが言う。
その質問に答えたのは、班長だった。
「はい、お願いします!」
「わかった!」
彩希おばさんは敵の隙を見て、高速移動して教室から出ていった。
どうしよう……私だけ何もしてない……。
せめて、犠牲者を少なくしたい――
……いいこと思いついた。
私は敵に斬りかかる。
でも、いつもの体勢と違う。
いつもは真っすぐ斬りかかるけど、今はグニャグニャ曲がって斬りかかる。
隙も多い。
敵は私を喰おうとして、大きく口を開ける。
私はそれを、ギリギリで避けたフリをした。
そして、窓から落ちる。
もちろん演技。
私は着地し、校庭の中央に行く。
奇跡的に校庭には誰もいない。
敵は窓からおりて、私に向かう。
ここなら全力で戦える。
私は敵が口を開けたタイミングをみて、その中に手榴弾を入れる。
そして敵の尻尾のところまで周り、尻尾を切断する。
そのとき、手榴弾が爆発した。
……でもこれじゃ、きっと死なないな……。
私は敵の背に乗り、刀を刺す。
敵は声にならない声で叫ぶ。
よし、あとはアイツを粉々にすればいい。
私は手に柊の花を出し、それを氷にする。
そして、それで敵を殴る。
敵の身体はどんどん凍っていく。
よし、これで確定で勝てた。
あとは時間をかせぐだけ。
どうやって時間稼ぎしよう……。
……いいこと思いついた……。
すっごい疲れると思うけど……。
私は校舎の周りに大量柊の花を出し、それで校舎を覆う。
よし、これでオッケー。
あとは私か……。




