第61話 勝てるわけない
『……本当に光栄だなァ、技まで使ってもらうなんて』
少年は笑いながら言う。
そして、人と化した葉っぱをもう片方の手で殴る。
すると、それは粉々になった。
「でしょ? 今度は別の女の子が能力使ってくれるって」
榎菜ちゃんは表情を笑いに変えて言う。
別の女の子……?
「私がやる」
月菜ちゃんが皆に聞こえるギリギリの声を出す。
「月花之黄光」
すると、辺り一面が光に包まれた。
眩しい……。
「……能力がわからない……」
光がやんだあと、班長がつぶやく。
……あれ? 班長に腕がある……?
さっき外れてたよね……?
『眩しいなァ、眩しいなァ。でも綺麗だよ』
「気持ち悪い」
月菜ちゃんは少年に斬りかかる。
少年は月菜ちゃんの握っている刀を手でつかむ。
そして月菜ちゃんの頭を握り潰そうとしている。
「――白月」
月菜ちゃんが言うと、少年は動きを急にとめた。
そして何か叫びながら自分の目を手でおさえている。
……って、私は何をしてるの!
私も戦わなきゃ……。
私が倒さなければいけない相手だし……。
私は自分の手首を刀で斬る。
そして少年に近づき、自分の血をかける。
「血氷!」
すると、私の血が凍った。
少年は再び叫ぶ。
「柊菜ちゃん!」
誰かが私の手をつかみ、班長たちのところに戻す。
楸菜ちゃん……。
「ダメだよ! 無理しないで!」
「でも……私も……」
「……柊菜、知り合いか?」
真気が私に訊く。
すると楸菜ちゃんがニッコリしながら真気に言う。
「うん! 知り合い!」
「……そっか……」
真気は納得してなさそうな顔をする。
今、少年は月菜ちゃん、椿菜ちゃん、榎菜ちゃんと榎菜ちゃんが出した葉っぱの斬撃を躱している。
もう目は大丈夫みたいだ。
「やっぱり私――」
「柊菜ちゃん」
私が少年のところに行こうとすると、楸菜ちゃんが私の腕を掴む。
「今は行っちゃダメ。今の柊菜ちゃんが戦ったところで負けるだけ。ここで死にたいの?」
楸菜ちゃんが真顔で言う。
……いや、それよりもちょっと怒ってる……?
「見てわかるでしょ? あの3人でも苦戦してる。今、勝てるわけがないんだよ!」
「でも……!」
「柊菜ちゃん」
今度は班長が私に言う。
「私、あの黄色の子と戦ったことあるんだ。あの子、普通に強いよ」
班長が強いって思った……?
月菜ちゃん……?
「あの子たちの能力がわからない状態だと、共闘するのは難しい。とりあえず私たちは、ここから出ることを考えよう」
班長は少年と戦っている月菜ちゃんを見ながらそう言った。
その目はいつもより緊張しているように見えた。




