第58話 仲間割れ?
「……琉璃は……どうするんですか……?」
弘太さんが班長に訊く。
「このまま帰ろうとすると襲われる。勝つまでは我慢してもらうことになる」
班長が言う。
いつもより静かで、低い声だった。
「じゃあさ、さっさと倒しちゃうわよ!」
パンが手を挙げて言う。
「お前は黙ってろ」
班長が言う。
身体の中に響くような声だった。
その瞬間、『グチャ』って音が響く。
パンの方からした。
その方向を見ると、左腕から大量の血が出ていた。
いや、左腕が切断されてる……!
班長がやったの……?
いや、班長はその場から動いてない……。
……班長の目が赤い……。
「あらら! 班長の美しい腕が! もう怒ったわ! プンプン!」
壱の伍班の誰かが班長に殴りかかる。
……ヤバイ……。
「やめろ!」
真気が叫ぶ。
すると、班長の前に黒色の何かが現れる。
それはトラみたいな形だった。
するとそのトラは叫ぶ。
その瞬間、班長が片膝をつく。
それを黙って見ていたら、私も片膝をつく。
真気と琉璃さん以外のみんながそうしてる。
「みんな落ち着け!」
トラが消えた。
すると、私の身体が動くようになった。
今のは……真気の霊化……?
「……ありがとう……真気……。危うく暴走するところだった」
班長は立ち上がり、真気を見る。
声はさっきより高くなっていた。
いつもの班長の声だ。
ってか暴走……?
「ダカラ……病院ハ……オ静カニ……!」
班長の後ろからまた霊が現れる。
例の水が身体中についている。
「……いいストレス発散道具、みーつけた」
班長がその場から動かないで言う。
ストレス発散道具……?
そう思って班長を見ていると、霊が切り刻まれた。
霊の身体はそのまま地面に落ちる。
「あー、すっきりした。ま、琉璃の傷が治るわけじゃないけど」
班長が琉璃さんに近づく。
琉璃さんは気絶してるみたいだ。
班長は琉璃さんを背負った。
「あとはここから出るだけだね」
班長が歩こうとした。
すると、班長の前に誰かが現れる。
男の子……?
……。……! まさか……アイツって……!
12歳くらいの少年の姿、肌はとても生きているような色ではない。
アイツだ……!
お母さんとお父さんを殺したのは……!
私は強い力で刀を握る。
『やあ、久しぶりィ』
その少年は私に言う。
心臓に響く声だ。
『あれ? 僕のこと忘れちゃった?』
少年は再び響く声で言う。
「えっと、誰かわかんないんですけど」
班長が私の前に立って言う。
『あ? 君には言ってないよ。黙ってて』
「私ね、今機嫌が悪いんだ」
班長が腰を低くする。
少年に攻撃しようとしているのだ。
『ジャマって言ってんだよ』
少年が言う。
すると、班長の両腕が切断された。
班長の背中から琉璃さんが落ちる。
そのとき、私の頭の中で何かが切れた。
血が出ている班長を無視して、私は少年に斬りかかった。




