第57話 壱の伍班の霊化
「あらあら怖いわ! メスでアタシの美顔を壊す気よ!」
パンが真気に抱きつく。
真気はすっごく嫌そうな顔をする。
かわいそう……あとで慰めてあげよ……。
「もう怖いよ~! アタシも戦うわよ!」
誰かわかんないけど叫ぶ。
すると、壱の伍班の人全員の目が赤くなる。
霊化……。
こんなふざけてる人たちの霊化……。
どうなんだろう……。
なんか技名とか叫んでるときやられそう……。
「患者サンガ……イマス……! オ静カニ……!」
パンの後ろにあの霊が現れる。
「喰らいなさい!」
パンが霊を殴ろうとする。
霊はその拳に当たった。
するとその霊は吹っ飛び、また消えた。
「フッ、あの程度か……」
パンが急に中年のおじさんみたいな声を出す。
おじさんって言っても……『イケてるおじさん』みたいな声。
「キャー! 班長かっこいいわ!」
また何か騒いでる……。
「傷は与えたの?」
琉璃さんがドヤ顔をしているパンに訊く。
「見た感じ、ただ殴っただけ。傷を与えないと意味ない」
「あら? もうアタシたちの勝利よ。だってアタシの美しい拳に当たってしまったんだもの!」
またオネエっぽい口調になって言う。
……本当にこの人たちといると疲れる……。
「へー、どんな能力なの?」
班長が面白そうにパンに訊く。
「ウフフ……。ヒ、ミ、ツ!」
うわー、ムカつく……。
「患者サンハ……看護師ニ……従エ……!」
今度は琉璃さんの後ろに霊が現れる。
今度は銃を持っていた。
「その戦い方、もう飽きた」
琉璃さんは一瞬で振り向き、霊に回し蹴りをする。
すると、霊から大量の水が出た。
霊は喘いで、また消える。
「琉璃……の能力じゃないよな……?」
弘太さんが琉璃さんに訊く。
琉璃さんは自分の脚を見ている。
霊から出た水がついている。
「うん、私の能力じゃない」
しばらく自分の脚を見ている琉璃さん。
すると、急に倒れた。
「! 琉璃! どうした!」
弘太さんが琉璃さんの頭を支える。
琉璃さんは息を切らしてる。
あの霊の技……?
「アタシの能力よ」
パンが突然喋る。
「その水に触ったのね? その水に触れると身体が溶けるの。脚にかかったみたいね。最初は脚が溶けるわ。そしたら水が身体を伝って、全身が溶けるわ」
……つまり、琉璃さんは……。
いや、班長がなんとかしてくれるはず……。
「……パン……さんだっけ……? ひどいことしてくれたね」
班長が低い声で言う。
「わかってるでしょ? 『霊化の能力で傷ついたものは治せない』って」
……え……?
治せない……?
「! テメェ!」
弘太さんが刀を抜いて、パンに構える。
私も今は黙ってるけど……そろそろ怒りが爆発しそう……。
「……身体を伝う……?」
琉璃さんが息を切らしながら言う。
「じゃあ、溶ける前に脚をなくせばいいんだね……?」
琉璃さんは刀を抜く。
脚をなくす……?
まさか……!
琉璃さんは刀で自分の右脚を切断した。
「! 琉璃!」
真気が琉璃さんに近づく。
一方琉璃さんは笑っている。
でも無理して笑ってるようにしかみえない。
「……琉璃はリタイアみたいだね」
班長はパンを睨んで言った。
琉璃……。




