第56話 診察室へ
「も〜、怖いわ〜」
誰かが言う。
うるさいなぁ……。
「班長、今回はどの程度建物を壊していいんですか?」
弘太さんがげっそりした表情で言う。
疲れただろうな……。
「えっとね……。『全壊オッケー』だって。真気の能力使えるね!」
「どこがだよ……」
……あれ? 真気の能力って人形出す能力だよね……?
班長の人形出して、班長の霊化使えば……。
「俺の能力は『自分以外の、自分の名前の文字数と同じやつの人形を出す』能力だ。しかも、その人形の人の霊化は使えない」
「ほへー、ご丁寧に説明まで……」
……確かに……。
ってか自分と同じ名前の文字数の人は無理なんだ……。
だから私とか琉璃さんの人形は出さないのか……。
『……ミズノミユウキ……サン……。ゴバンノ……シンサツシツマデ……オネガイシマス……』
どこからかそんな声が聞こえる。
女の声だ。
「あれれ? なんで私の名前知ってるの? 私って有名人だっけ?」
班長は全然怖がってない。
でも壱の伍班の人全員が悲鳴をあげている。
「キャー! 怖いわ〜!」
「ちょっと真気、全員のこと護りなさいよ!?」
……もうツッコむのが疲れた。
「5番診察室ってあそこだよね?」
班長が『5』と書かれた扉を指す。
血まみれだった。
「罠だと思うけど、みんなで行こう!」
班長がそのドアに近づく。
そしてドアを開けるかと思うと――
――ドアが粉々になった。
「来ましたよー!」
……班長……?
今霊化してなかったよね……?
しかも班長の霊化の能力よくわかんないし……。
「あ! アタシも行く!」
パンも班長の後ろに並ぶ。
「じゃあアタシも!」
「アタシも!」
……気がついたら壱の伍班全員が班長の後ろに並ぶ。
「……? 何もないな……」
班長が言う。
だから私も部屋の中を覗く。
確かに何もない。
……! 何もない……!
真っ暗で、床がない。
「落ちなくてよかったよー。あぶな――」
班長が言ってるときだった。
班長がその場から消えた。
そして私の後ろから、刃と刃が交わる音が響いた。
振り向くと、班長が刀を持っていた。
そして誰かの斬撃を防いでいた。
白衣を着た女の人だ。
その人は顔が血まみれで手にはメスを持っている。
霊か……。
「病院ハ……オ静カニ……!」
「へー、病院でそんな物騒なの振り回さないほうがいいと思うけど?」
班長が霊を蹴り上げる。
すると霊は吹っ飛び、消えた。
もういつ襲ってきてもおかしくない……。




