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第55話 廃病院

 「おお! ここが廃病院か!」


 班長がなぜか笑いながら、周辺を観察するように見る。


 深夜だからすごく暗い。

 私たちの胸辺りに小さいライトみたいなのつけてるけど、全然暗い。


 「いや〜! プン〜! アタシ怖い〜!」

 「アタシも怖い〜! 乙女はこういうところは苦手なのよっ!」


 ……くだらない……。


 ……ってかさっきまで『パンさん』とか『ピンさん』って呼んでたけど、『さん』をつけたくなくなってきた。


 「真気〜! アタシ怖いよ〜!」


 ペン……なのかな……? ポンかもしれない……。

 まぁ、その人が真気に抱きつく。


 「バッ! くっつくな!」

 「あらあら? 照れ隠し?」

 「んなわけねぇだろ!」


 うわ……真気かわいそう……。

 さっきもパンに抱きつかれてたし……。

 そのときから真気から変なにおいするし……。


 「え〜、じゃあ弘太〜!」

 「なんで僕になるの!? 近づくな!」


 真気に抱きついてた人が弘太さんを追う。

 弘太さんは全力で逃げる。


 「もう、アンタたち、病院は走っちゃダメよ?」


 パンさんが手を叩いて言う。


 パンさんは赤いハチマキしてるから、見分けられる。


 「わかった? だからね、こうするの!」


 パンさんは急に逆立ちをする。

 そして、その体勢のまま弘太さんに向かう。


 すごく速い……。


 「やめろ! 怖い……ってか気持ち悪い!」


 弘太さんはめっちゃ必死になって逃げる。

 確かに怖い……っていうか気持ち悪い……。


 「さすが班長! アタシたちも行くわよ!」


 誰かがそう言ったとき、私たち壱の玖班以外の人全員が逆立ちになる。

 そしてその人たちが、その体勢のまま弘太さんに向かう。


 「だからなんで僕だけ!?」


 ああ……弘太さんかわいそう……。


 『……ニ……ロ……』


 ……なに……?

 女の声……?


 ……ってことはまさか……。


 私の後ろから気配を感じた。

 私は頭を下げる。


 すると、私の頭の上をメスが通り過ぎる。


 「キャー! こわ〜い!」


 壱の伍班の誰かが叫ぶ。


 『シズカニシロ……!』


 その瞬間、私の背中に激痛が走った。


 メスが刺さっていた。


 「柊花之防氷(ひかのぼうひょう)!」


 私の髪が白くなる。

 そして私の傷が治った。


 ……またタイミング間違えた……。

 メス抜いてから直したほうがよかった……。


 まぁ、今はメス刺さったまま戦お。


 「柊菜、敵の攻撃喰らったの?」


 琉璃さんが私の背中を見て言う。


 「みたいですね……」

 「じゃあ敵、どこにいるの?」


 ……え? いないの……?

 私は辺りを見渡すが、特に敵らしき影はない。


 どこから攻撃してきた……?

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