第5話 班のメンバー
「はい、自己紹介して」
班長は私にそう言う。
……自己紹介しなきゃいけない感じだ……。
「えっと……坂田柊菜です」
「他には?」
一人の男の人が言う。
他……?
「ほら、年齢とか特技とか」
あ、そういうことか。
「13歳です。特技は……ありません」
「えー、本当? なんか百人一首とか上手そう」
班長が言う。
……百人一首……私、一つも覚えてない……。
それで百人一首のテストで点数悪かったな……。
「はい、じゃあ次は弘太たちの番だね」
「え、僕!?」
班長の言葉に一人の男の人が反応する。
「当たり前じゃん! 私はもう自己紹介したから」
「えー……」
……なんか申し訳ない……。
「僕は畑中弘太。好きなことは運動すること、嫌いなことはウザいやつと話すこと。年齢は17」
……ウザいやつと話すことは、みんな嫌いじゃない?
私も今日ウザい人といっぱい話したな……。
生活指導の先生、あの男子……。
うう……思い出しただけで頭痛くなる……。
「次は俺だな。俺は川雷真気。年齢は15、霊伐隊だ」
いや、霊伐隊ってことはわかりますよ……。
「……私、佐藤琉璃。年齢、17」
女の人が静かに言う。
大人しい人なのかな……?
「よし、自己紹介も終わったことだし、色々と説明するね!」
班長はそう言い、私の前に立つ。
そして、私に『霊』と黒い字で書かれた白いハチマキと、白色のミサンガを渡す。
「これを持っている限り、柊菜ちゃんは霊伐隊だよ!」
班長は笑顔で言う。
『これを持っている限り』……ってことは今から霊伐隊ってこと……?
みんなに『霊伐隊です!』とか言っちゃったけど、あれ間違えてたってこと!?
めっちゃ恥ずかしい……。
「? この部屋暑い? 顔赤いよ?」
班長は私の顔を覗くように見て言う。
「あ、いえ! 大丈夫です!」
「そっか! ……あとこれ!」
班長はポケットから注射器を出す。
中には白色の濁った液体が入っている。
「左利き?」
「はい……」
「じゃ、腕出して」
班長は私の左腕を掴む。
そして、注射器の針を腕に刺そうとする。
「え! ちょっ!」
「いいから落ち着け」
真気という男の人が、私を後ろからおさえる。
……この人、いつ私の後ろに回った……?
私がそんなことを考えていると、班長が注射器の針を腕に刺す。
そして、白色の濁った液体を私の体内に入れる。
「……よし! オッケー!」
「いや、『よし、オッケー!』じゃないですよ! なんですか!? 今の液体!」
「……『霊化』……」
私の質問に琉璃という人が静かに答える。
……霊化……?
「うん、今の液体を体内に入れることで『霊化』できるようになったよ。霊化っていうのはね、霊になれるの!」
「そのまんましゃないですか……。てか、霊になって何か意味あるんですか?」
「めっちゃある」
今度は弘太という人が答える。
次の瞬間、弘太さんの目が赤くなる。
「霊化することによって力や体力、走る速度が5倍ほどになる。なぜかは知らないけど、目が赤くなる」
弘太さんはそう言うと、目の色が戻る。
霊化というものを解いたのかな……?
私はそんなことを考えながらハチマキを巻き、ミサンガをつける。
ちなみに、彩希おばさんはハチマキを足首につけている。
……なんで足なんだろう……?
「霊化はね、全身に力を込めればできるからやってみなよ! ……あ、でも5分しか続けてできないから注意してね」
班長が目を輝かせて私を見る。
他の3人も私を見ている。
……やるしかないか。
私は全身に力を込めた。
『まだ戦闘シーンないのかよ』と思っている方、もう少しでバトルきますのでお待ちください!