第38話 覚醒した霊
『き、貴様……!』
霊が苦しみながら言う。
しかも霊の身体が『シュー……』って音を立てている。
溶けてる……?
「班長からもらった薬だぜ? どうだ? 苦しいか?」
『この程度……再生させれば……!』
再生……!
どうしよう……もう一回凍らせる……?
「無駄だぜ、わかってんだろ?」
真気が霊を見下ろしながら言う。
無駄……?
『! なぜだ! なぜ……!』
霊がまだ再生しない……。
再生できないのかな……?
「俺らの勝ちだな」
真気が刀を霊に刺そうとしたときだった。
『――まだだ!』
霊から激しい光が出る。
真気は反射的に霊から離れる。
光がやむと、そこには巨大化したさっきの霊がいた。
大きい……。
「うわ、キモくなりやがった」
「それより真気、もう傷は大丈夫なのか?」
「ああ、班長のおかけだな」
「あいつ、どうやって倒す?」
琉璃さんが巨大化した霊を見ながら言う。
確かにどうやって……。
……疑いたくないけど、真気のかけたあの液体のせい……?
「真気、あの液体何? あのせいで巨大化したと思うんだけど」
「俺が知るか。班長からもらったんだよ。『これかければ相手死ぬから』って」
「真気……班長の言葉を鵜呑みにしたのか……?」
え、なに? 班長そんなに信用されてないの?
かわいそう……。
ああいうキャラだよね。
信用されてないけど、みんなから好かれてるやつ。
私は好きだけどな、班長。
ちょっと何考えてるかわからないけど。
「お待たせ!」
後ろから班長の声。
振り向くと、そこには班長がいた。
しかも目が赤い。
班長の霊化だ。
「真気、ありがとう。ここからは私がやるね」
班長は私たちの前に立つ。
刀は抜いていない。
『……貴様、武器を持たないで戦う気か……なめるなよ……』
「なめてないよ。ねーねー、どんな死に方がいい?」
『勝った気でいやがるな……』
霊は班長に殴りかかる。
でかいけど、全然鈍くない。
むしろさっきよりも速い。
しかしその場から動かず、班長は右腕を前に出す。
霊の手は班長に触れた瞬間、『ボキボキ』と音がなる。
骨が折れた……?
「えー、決めないのー? じゃあ私が決めるね」
班長が言い終わったときだった。
霊の両腕が切断された。
『!』
霊は何が起こったのかわからない様子だ。
次の瞬間、霊の両足が切断される。
その次には首が切断された。
しかし、再生される。
『お、お前の技は使えないみたいだな……!』
「本当にそう思う? そろそろ死ぬよ」
霊は班長の言葉を気にせず、再び班長に殴りかかる。
しかし次の瞬間には霊の姿が消えた。
「流石に超速再生でも無理みたいだね――」
「――細胞の百分の一の大きさまで粉々なったら」




