第35話 襲いかかるマネキン
「おいおい、マジかよ」
真気が冷や汗をかきながら言う。
あの霊……超速再生だけ……?
それにしてはおかしい。
私の能力で凍らせたのに……。
そのとき、私の後ろから気配を感じた。
私は急いで振り向く。
そこには、全身が真っ白の人がいた。
いや、人じゃない。
――マネキンだ!
マネキンは私に殴りかかる。
私はマネキンの身体中に柊の花を出し、凍らせる。
「真気! ヤバイ! マネキンが真気にも襲ってくるかも――」
私がそう言ったときにはもう遅かった。
真気が血まみれで倒れていたのだ。
その後ろには果物ナイフとノコギリを持っているマネキンが大量にいた。
班長の人形は消えている。
「真気!」
「柊菜! 危ない!」
上から琉璃さんの声。
その瞬間、私の後ろにもう一体マネキンがいることに気づいた。
そのマネキンはチェーンソーを持っていた。
すると琉璃さんが上から落ちてきて、マネキンの腕を刀で切断する。
その次に弘太さんが落ちてきて、マネキンの胴体を横一文字に切断する。
『邪魔なやつめ……』
霊は言う。
琉璃さんと弘太さんが細い目でその霊を見る。
「それより柊菜、それ、真気の服だよね?」
弘太さんが私の服を見て言う。
今気づくんですか……。
「ま、まぁそこは気にしないでください! とりあえず真気の手当てを!」
「じゃあ私に任せて!」
今度は班長の声。
真気の近くに班長がいたのだ。
「霊化、使うの……?」
琉璃さんが心配そうな目で班長を見る。
霊化……使ってほしくないの……?
「使わないよ! 私あの能力嫌いだしそれに、そんなことしたらこの建物壊れちゃうかもしれないし」
建物が壊れる……?
どれだけすごい霊化なんだろう……。
気になる……。
「それより柊菜ちゃん? この氷」
「あ、はい!」
「へー、いいね! かき氷つくれそう」
能力でつくった氷でかき氷つくるの……?
美味しくないと思いますよ、班長。
「私だって応急手当てくらいできるから」
班長はしゃがみ、懐から包帯と何か液体が入っている瓶を出す。
『そんなのさせるわけないだろ!』
霊は班長に殴りかかる。
しかし班長は動かない。
私が班長の前に柊の花を出そうとしたときだった。
「――邪魔だな」
班長か静かに言った。
確かに静かに言っていたが、私にもよく聞こえた。
その瞬間、霊が粉々になる。
班長はそんなことを気にせず、真気の傷口に液体をかける。
班長……そんな強いんだったら戦ってくださいよ……。
『ク、クソ……』
霊はまた再生した。
そして今度は私たちに殴りかかる。
私は霊の前に柊の花を出した。




