第33話 現場
午後11時。
私たち『壱の玖班』は、例の洋服が出現したという洋服屋に来ていた。
なぜか班長が『灯りは消してください』って頼んだから真っ暗だ。
「あ! この服かわいい!」
班長が近くにかけてある洋服を見る。
今そんなこと言ってる場合なのかな……?
まぁ、これが班長のキャラか……。
「班長、今回はどんな霊なんだ?」
真気が班長に訊く。
……え? 聞いてないの……?
「洋服の霊だって。とにかく、怪しいことあったら私に言ってね」
「もう起きてるよ」
弘太さんが呟く。
もう起きてる……?
辺りを見渡す。
しかし、特に変化はない。
「……何も起きてない……」
琉璃さんも異変に気づかないようだった。
よかった、私だけじゃない。
「おかしいと思わないか? ここは服屋だ。マネキンが一つくらいあってもいいと思うんだけどな」
! 確かに!
マネキンが一つもない!
マネキンが動く系なのかな……。
まぁ、頑張ろ。
「うーん……今回はどんな感じにやる? 分かれて行く? 一緒に行く?」
「俺と柊菜、弘太と琉璃、班長に分かれて行きたい」
真気が片腕で、横から私を抱く。
……へ? 抱かれた……?
「俺と一緒に行こうな」
真気は私にそう言う。
……真気……やめて……惚れる……。
「あ! なになに? もう付き合ったの!?」
班長が面白いものを見るような目で、私と真気を見る。
……残念ながら私に恋人はいません……。
泣きそう……。
「残念ながら俺に恋人はいねぇよ」
真気も私と同じこと思ってたみたい……。
恋人いる人ってさ、なんで恋人できるんだろう……。
そういえば彩希おばさんに恋人っているのかな……。
絶対に訊かないけど。
「私は真気の意見に賛成」
琉璃さんは弘太さんに近づく。
「じゃあそれで決まり! バイバイ!」
班長はその場から一瞬で消えた。
私の見えないスピードで移動したのだろう。
「じゃ、俺たちも行くぜ」
真気はそう言い、歩き出す。
「真気……」
「大丈夫だ。何も怖くないからな」
だから真気……惚れるって……。
しばらく歩くと、みんなが見えないところまで来た。
「――許せ」
次の瞬間、真気は私の服を破く。
え、待って待って待って待って!
裸見られる!
「ちょっ!」
「大丈夫だ! お前の裸見るためじゃない!」
そのときだった。
私の服から『ウウウ……』と、うなり声のような声が聞こえる。
そして真気の持っている、破れた服が大きくなった。
それは人の形になる。
『惜しかったな……もう少しだったのに……』
そいつは低い声で言う。
「それはこっちのセリフだ」
真気は刀を抜き、そいつに構えた。




