第32話 ある日部屋で
私は今、霊伐隊の本部の『壱の玖班』の部屋にいる。
琉璃さんもいる。
何をしてるかというと、掃除をしている。
班長が『掃除するのヤダー! 面倒くさいー!』とか言って全然掃除しないから……。
私が掃除するって言ったら、琉璃さんも掃除を手伝うって言ってくれた。
そのとき『コンコン』とドアがノックされる。
「……誰?」
琉璃さんがドアに近づいて、言う。
すると『えっと……』って女の子の声が聞こえる。
この声……まさか……。
私はドアを開ける。
そこには血花ちゃんがいた。
「優希お姉ちゃんいる……?」
血花ちゃんが照れたように言う。
この子、本気でかわいくしたらめっちゃ可愛くなると思う。
「えっと……今班長いないんだ……ごめんね」
「そっか……。じゃ、じゃあ……これ……優希お姉ちゃんに渡して……」
血花ちゃんがポケットから紙を出す。
手紙かな……?
私はそれを受け取る。
「わかった。渡しておくね」
「あ、ありがとう」
血花ちゃんはそう言い、トコトコと帰って行く。
そのとき、私のスマホが鳴った。
……班長から電話……?
「もしもし?」
『あ、柊菜ちゃん! 今私どこにいると思う?』
「え……? 家じゃないんですか?」
「ブッブー!」
……? 今後ろから班長の声が聞こえたような……。
「柊菜、後ろ」
琉璃さんが私に言う。
後ろ……?
私は後ろを見る。
そこには班長がいた。
「二人ともお疲れ様!」
「え! い、いつからいたんですか!?」
「今から。それとさ、二人に伝えたいことができたから」
班長はそう言い、急に真顔になる。
こういう真剣なときの班長に、血花ちゃんからの手紙を渡すと怒るかな……?
まぁ、今は渡さないでおこう。
「また任務ができたよ。今回は服屋さんで起きてる事件だって。とある服を着た人は行方不明になるんだって。その服も今は行方不明。ごくたまに服屋に出現するって」
今回……結構怖い霊だな……。
どんな霊なんだろう……。
洋服の霊……。
「柊菜、渡しな、手紙」
琉璃さんが私に言う。
今渡すんですか……?
「あの、班長……これ、血花ちゃんから手紙……」
「え!? 血花ちゃんから!?」
私の言葉を聞いた瞬間、班長は急に笑顔になる。
すごい変化……。
私は班長に手紙を渡す。
班長はそれを読む。
しばらくすると班長は顔を上げる。
「柊菜ちゃん! ありがとう!」
「はい……それ……何書いてあったんですか……?」
「新しいレシピ! 『鮭のチョコレート漬け』だよ!」
鮭のチョコレート漬け……!
どんな味なんだろう……逆に気になる……。
今度食べてみよ……。
血花ちゃん……




