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第26話 赫の霊化

 「赫さん……」


 私は目の前にいる赫さんに向かって呟く。

 赫さんの肩から血が流れる。


 口裂け女の握っている鎌が赫さんの肩に刺さっていた。


 「よし!」


 真気が一瞬で班長の人形をつくり、その二人が口裂け女に斬りかかる。


 しかし口裂け女は赫さんから鎌をはずし、赫さんを蹴った。

 そして真気の斬撃を躱して班長を蹴る。


 「赫さん!」


 私は赫さんのところまで駆け寄る。

 結構な量の血が出ている。


 赫さんはぐったりしていた。


 「赫さん! 赫さん!」


 私が何度叫んでも返事はない。

 続けて私は何度も叫ぶ。


 「赫さん! 赫さん!」

 「……痛……」


 ……え? 今赫さん、喋った……?


 「肩は痛いですよね……やるなら腹とかにしてほしい……」


 いや、そういうところですか……?

 まぁ、大丈夫そうならよかった……。


 「――やっと僕の霊化の能力を使える」


 赫さんは薄く笑い、自分の血をなめる。

 すると、赫さんがその場から消えた。


 次の瞬間、赫さんは郵便ポストの上に立っていた。


 「柊菜さん、ありがとうございます。柊菜さんのおかげで本気で戦うことができます」


 赫さんはその場から私に言う。

 ……私……なんもしてない……。


 「……赫、なんでそんなところ立ってるんだ……?」


 私の後ろから男の人の声がする。

 和生さんの声だ。


 振り向くとそこには和生さんと琉璃さんがいた。


 「柊菜、大丈夫?」


 琉璃さんが私の前に立って言う。

 ……なんでだろう。琉璃さん嬉しそう……。


 「能力、使った?」


 琉璃さんが続けて質問する。


 「いや、まだです」

 「じゃあ使って!」


 琉璃さんがすんごく元気な声で言う。

 琉璃さんのこんな声聞いたことない……。


 「無理なんです……」

 「……え? ……ああ、味方がいると発動できなかったり、発動するのに条件が必要なやつ?」

 「いや……わからないんです……能力が……」


 私がやっとの思いで声を出すと、琉璃さんは急に冷たい目になった。


 「へー、無理なんだ。来なければよかった」

 「へ!? それ酷すぎません!?」

 「柊菜の霊化の能力だけ見たかった」

 「私はどうでもいいんですか!? てか、琉璃さんこの間『他人の霊化は見るべきじゃない』みたいなこと言ってましたよね!?」


 私の霊化だけ見たかったって……。

 私の身はどうでもよかったんだ……。


 こう思ってる私も自意識過剰か……。


 「……赫が本気出そうとしてるのか……」


 和生さんが呟く。

 なんか心配そうな目をしている。


 「あいつが暴走するとヤバいことになるんだよな――」


 「――油断したら俺らも死ぬかもな」

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