第16話 初勝利
私は右手で、私の前に現れた白い花を掴む。
柊だ。
「なんで……お姉ちゃん……痛くないの……?」
少女は私の腹のお腹を見て言う。
その声は少しだけ震えていた。
しかし、私はなぜか落ち着いていた。
「痛いよ、すごく」
私は柊を捨てる。
その瞬間だった。
私の右肩とお腹の傷が消えた。
血の跡も消え、何もなかったかのようになった。
それを見て少女は、さっきよりも怯える目で私を見る。
「お、お姉ちゃん……怖いよ……なんで……回復するの……?」
「怖い? 私たち人間にとっては、あなたたち霊が怖いけどね。何もしてない人を次々に殺して。何が楽しいの?」
私はゆっくりと脚を前に出し、少女に近づく。
「! ヤダ!」
少女は私から離れ、包丁を私に向かって投げる。
包丁は私の右肩に刺さった。
でも、一瞬で出血が止まった。
「ヤダ、ヤダ!」
少女は自分に言い聞かせるように言う。
「影絵!」
少女は手で銃の形をつくる。
すると、少女の前にハンドガンが現れる。
少女はそれを握り、乱射する。
しかし、私は避けようとしなかった。
私の周りに大量の柊が現れて、それらが銃弾全てを防いだのだ。
「これからどうする? あなたの攻撃は全部防がれちゃったけど」
私はさらに歩く。
「ヤダ、ヤダ!」
少女は手を前に出す。
「火遊!」
すると、辺り一帯が火に包まれる。
私の後ろにいる男子の服が燃えている。
……まぁ、あのくらいなら大丈夫か。
「ど、どう? これならお姉ちゃんも無理でしょ! お姉ちゃんの能力、攻撃を防ぐの専門だよね! 人間がこれに勝てるわけ――」
「勝てるよ」
私は右手を床につける。
すると、辺り一帯に柊が現れる。
それが炎を消したのだ。
「え……なんで……」
「私の霊化の名前、聞こえたでしょ?」
私が言うと、少女は一瞬考える。
しかしすぐにわかったみたいで、さらに震えながら私を見る。
「私ね、氷の技も使えるみたい」
次の瞬間、柊全てが氷になる。
……ちょっとデコボコしてるアイスリンクみたい。
「私の勝ちだね」
私は少女のところへ本気で走る。
少女は私のスピードについていけず、ただ立っているだけだ。
私は刀で少女の胴体を横一文字に切断した。
「いいよ、おままごとの続きやろう――」
「――私が殺人犯役ね」
殺人犯役なんてやりたくないけど……




