第111話 オタクの霊、終
「クソ……、ナナミたん……、こいつらに……!」
霊は私の斬撃を木の枝で防ぎながら言う。
私の動きは全体的に速くなってる。
しかも一撃の力も上がっているように感じた。
班長たちはなぜか私と霊から離れている。
そして私たちを見つめている。
「お前みたいな……、下品なやつに……、ナナミたんが……!」
「知らないよ、そんなの!」
私は霊に何度も斬りかかる。
霊は私の斬撃を全部防ぐ。
でも私に攻撃してこない。
そんな暇ないんだと思う。
私に攻撃しようとすると、私の攻撃を防げない。
私の攻撃を防ごうとすると、私に攻撃できない。
これはかなりいい状態だ……。
でも、いつまでもこの状況を続けるわけには行かない。
いつかは私の体力も尽きる。
なるべく早めにこいつを殺したい……。
私は霊の足元に大量の柊の花を出して、それを氷にする。
霊はびっくりして、足元を見る。
その隙は私を助けてくれた。
私は霊の胴体を斬る。
胴体を斬られた霊は私を驚いた表情で見る。
私は霊の身体をまた斬る。
斬って斬って、斬りまくる。
霊は立てなくなって、その場で倒せる。
私は血のついた刀を見て、その次に班長たちのほうに顔を向ける。
「さっすが柊菜ちゃん! ほぼ一人で勝ったじゃん!」
班長は私のすぐ目の前まで高速移動してくる。
「すごかったよ! なんか速くなってたよね! 技使ったの?」
「いえ……、なんか急に強くなったんですよ……」
「…………」
急に黙り込む班長。
なんで黙り込むんだろう……。
「……そろそろか……」
班長がつぶやく。
しかも真顔で。
どうしたんだろう……。
なんか最近の班長、こういうの多い気がする。
疲れてるのかな?
班長も大変だし。
報告書とか夜遅くまで起きて書いてるんだろうな……。
「ま、早く帰ろ」
班長はため息をついて、霊の死体を見る。
私も霊の死体を見る。
血をドクドクと流しながら動かない男。
「――柊菜? どうした?」
私の隣りに来た真気。
気づけば班長はもう私から結構離れたところにいた。
ここから出るつもりみたい。
「いや、なんか……」
「この霊、なんかあったのか?」
「なんもない……」
「元気ねぇじゃねぇかよ。……ま、戦った直後に元気なやつなんてあんまりいねぇけどな」
「そうだね……」
……なんで私、こんな霊の死体なんか見つめてたんだろう……。
特になんも思ってなかったのに。
「行こ、真気」
私は真気にそう言って、この部屋から出た。
オタクはいいですよ! インドア陰キャでオタクの人は私の仲間です! ……あ、でも最近アニメとかマンガ読んでない……。




