第108話 目を覚ました
目を覚ますと、私はベッドに横になっていた。
ここは霊伐隊の個人治療室らしい。
ここに来るの何回目だろう……。
そんなことを思いながら身体を起こす。
すぐ目の前には班長がいた。
「あ、柊菜ちゃん。起きたんだ」
班長が言う。
でも、いつもの班長と何か違う。
声のトーンが低い気がする。
「あ、はい……」
「頭痛は大丈夫そう?」
頭痛はしてない。
むしろスッキリしてる。
なんでだろう……。
「ならよかった。……あと、これから任務できそう? 無理そうなら休んでもいいけど」
「いえ、大丈夫です……」
「本当? 無理しなくていいんだよ?」
「本当に大丈夫です……。戦えます……」
私が言うと、班長は何も言わなくなった。
私は近くにある、二振りの刀を持つ。
いつも通り、両方とも背中に背負った。
「……私が気を失ってから、どれくらい経ちましたか……?」
「五時間くらいかな?」
意外と短いな……。
壱日は寝てるつもりだったのに……。
「真気たちはどこにいるんですか?」
「私たちの部屋で待ってるよ」
「ありがとうございます」
私は班長の顔を見ないでお礼を言う。
そして、班長の顔を見ないまま個人治療室から出た。
「やっぱ盛り上がるねー!」
またあのライブ会場に来た。
アイドルの霊の死体は片付けられていた。
でも、血の匂いはまだする。
「全然盛り上がんねーだろ」
いつも通り真気がツッコミをいれる。
その隣では、細い目をしてる弘太さんと琉璃さん。
ライブ会場は電気がついていない。
真っ暗だ。
「でも、どこにもいなさそだねー」
周囲を見渡す班長。
テンションがいつもみたいになってる。
班長のテンション、戻ってよかった……。
「ってか、本当にここにいるのか? どっかの家に住みついてたり、どっかの人間に取り憑いてたりしてないのか?」
「目撃情報はここなんだよねー」
「目撃情報って……、目撃したやついるのかよ」
「うん、クソ隊長だって」
!?
班長!?
今『クソ』って言った!?
隊長に向かって『クソ』!?
「さ、早く見つけよ。なるべく早く任務終わらせたいし」
班長は前を見たままステージに向かう。
弘太さんと琉璃さんは何も言わず、この部屋の端っこのほうに行く。
残ったのは私と真気。
「……大人しくなったと思ったのにな……」
真気はそんなことを言って、班長について行った。
私は何をすればいいんだろう……。




