第102話 ライブ会場へ
「うっわー! すっごく盛り上がるね!」
班長が興奮してる。
初めてライブ会場に来たら、みんなこうなるのな?
私もライブ会場で興奮してみたいな。
今はとても興奮できないけど。
「班長、マジで盛り上がってんのか?」
真気がライブ会場を見渡しながら言う。
「うん!」
「盛り上がるものに値しないと思うけどな」
真気の言う通り。
今私たちはライブ会場の中にいるけど、かなり酷い。
とっても静かで、血のにおいがして、とっても暗い。
いつものライブ会場はもっとにぎやかなんだろうな……。
ちなみにこのライブ会場、霊が出現してから誰も立ち入りしてないらしい。
だからホコリとか結構ある。
霊がいなくなったら掃除しよっかな?
「アイドルの霊ってことはさ、あそこから出てくるんじゃない?」
班長が奥にあるステージを指差して言う。
そんな霊が堂々と出てくるわけ――
『みんな! 今日は来てくれてありがとう!』
近くにあるスピーカーから若い女の人の声が聞こえる。
声はいきいきしている。
『今日はみんなのために、サプライズを用意したんだ! じゃあみんな! ステージに注目!』
そこで声は聞こえなくなった。
ステージに注目……?
私はステージを見る。
なんか霧みたいなのが出てる。
するとスポットライトがステージを照らす。
そしたら、なんか下から女の人が出てきた。
綺麗な衣装着て、マイクを持っている。
……あれが霊か……。
でも見た感じ、人間っぽいけどな……。
「今回は、私が直接歌を届けられるよ! でも応援がちょっと足りないなー! みんな! 応援して!」
女の人が言う。
でも誰も斬りかからない。
みんな様子を見てるみたい。
しばらく、誰も喋らなくなる。
すっごく静か。
「…………」
なにこの気まずい空気……。
「……へー……」
女はつぶやく。
すると、女の姿が消えた。
私の隣で、刃と刃が交わる音が響いた。
隣を見ると、女が刀を持っていて、班長に斬りかかっていた。
班長は刀でその斬撃を防いでいた。
「そこは応援するところでしょ!? ふざけないでよ!」
急に怒鳴る女。
すごく怒ってる。
「あーとね、ごめんごめん。私ライブ会場なんて初めてだから、そういうノリわかんないんだ」
班長はゆっくりそう言って、女の腹を蹴る。
女は吹っ飛ぶ。
私は女の吹っ飛んでいったところまで行き、女を斬ろうとする。
でもそのときに女はいなかった。
私の後ろに回り込んでいた。
顔が鬼みたい……。




