第101話 右腕、治った
「お、おはようございまーす……」
朝の九時。
『壱の玖班の部屋』に入る。
中には真気、琉璃さん、弘太さん、班長がいた。
「お、柊菜――って、お前! 右腕!」
最初に反応してくれたのは真気。
すっごく驚いてる。
弘太さんも目を大きくしていた。
琉璃さんは……、いつも通り真顔……。
琉璃さんって、笑ったことあるのかな……?
班長は笑顔。
「どうしたんよ! その右腕!」
「えっと……、なんか生えてた」
「生える……? 回復専門のやつにやってもらったのか?」
いや、月菜ちゃんです。
そして寝て起きたら生えてました。
この右腕、ちゃんと感覚あるし、ちゃんと動く。
「柊菜の能力じゃないっぽい。誰の能力?」
琉璃さんが相変わらずの無表情で訊いてくる。
多分月菜ちゃんの能力かな?
でも月菜ちゃんの能力に『相手の傷を治す』なんてあったっけ?
昔は知ってたのに……、今はなぜか思い出せない……。
……ってか、『昔』っていつだっけ?
「月菜ちゃんです……」
「誰それ」
あ、琉璃さん、ご存知ないんですか……。
「あの子じゃない? 口裂け女殺したとき、和生と戦ってた女の子」
「ああ、柊菜を連れて行こうとしたやつか」
琉璃さん、月菜ちゃんは私を連れて行こうとしたわけじゃないと思います……。
なんかすっごい月菜ちゃんが悪役みたいになってる……。
「ま、治ったならよかったよ。ちゃんと動くんでしょ?」
「はい。ちゃんと動きます」
「じゃ、次の任務入ったから言うね。よく聞いてて」
また任務か……。
早いな……。
まぁ、それが霊伐隊の仕事だから仕方ないっか。
「今度はライブ会場だって。アイドルの霊らしいよ」
「アイドル?」
「うん、かわいい霊だって。性格がかわいいかどうかはわからないけど」
アイドル……。
なんか強そうだな……。
そういえば私もアイドルになりたかった時期があったなー。
何歳くらいだっけ?
霊殺す夢、諦めたときだなー。
私にアイドルなんて向かなさそうだし、アイドルになる夢諦めてよかっなー。
私のあだ名、『ゴリラ』だったもんなー、最近まで。
あの『カピバラ』がつけた。
力が強かったから『ゴリラ』になった。
霊伐隊の中では、私力弱いほうだけど。
多分。
「ライブ会場、私行ったことないんだよねー」
「私も。柊菜は?」
「わ、私はありませんけど……」
女子は全員行ったことないみたい。
「真気と弘太は?」
「俺は行ったことある。弘太も行ったことあるはずだ」
「僕もだ」
男子は行ったことあるみたい。
「え、なになに? 好きなアイドルのライブ?」
「はぁ? 班長が行かせたんだろ?」
「僕と真気だけ、任務で行かせてた」
へー……。
真気と弘太さんだけ……。




