第10話 別れた空間 〜琉璃〜
「……班長……」
そう呟いたのは琉璃。
「あれれ、そこまで驚いてない? クール系女子?」
どこからかそう声が響く。
琉璃は声が聞こえた方向を見る。
そこには血まみれの少年がいた。
「霊……」
「あ、ボクのことわかる? やっぱりお金持ちは目立つんだな〜」
目の前の少年は謎のポーズをしながら言う。
「いや〜、困るな〜。イケメンは女の子の注目の的になって」
再び意味の分からないことを言い出す少年。
しかも、そんなにイケメンじゃない。
琉璃から見ると、真気や弘太の方がイケメンに思えた。
「……あのさ、そのウザい動きやめてくれない?」
「んー? ウザい動き? そんなことをしているやつがいるのか。どれどれ、ボクが見てあげよう」
……本当のバカだ。
琉璃はそう思い、口に出そうとした。
しかし、敢えて言わなかった。
言ったらまた面倒なことになる、と思ったからだ。
「あ、でもね、ボク霊伐隊の人は殺したいんだ」
少年は急に表情と声色を変えて琉璃に言う。
それのおかげで、琉璃は少し緊張感が出た。
「それじゃ、さよなら!」
少年はカッターナイフをポケットから出し、刃を出す。
そして琉璃に斬りかかる。
琉璃は急いで刀を抜き、その攻撃を防ぐ。
次の瞬間、少年はポケットからもう一つのカッターナイフを出す。
それを琉璃の頭に刺そうとしたが――
――琉璃の目が赤くなる。
すると琉璃は少年の攻撃を躱した。
そして、少年から離れる。
「霊化か……。ボクが強すぎて勝てないと思った? 頭いいね!」
「……ウザい……」
「そっか! そんなこと言う悪い子にはボクがお仕置きしてあげるよ!」
少年はそう言い、一瞬で琉璃の前まで走った。
琉璃はそのスピードについていけず、一瞬動きが止まる。
少年はその隙に、琉璃の腹にカッターナイフを刺す。
少年は勝ちを確信したが――
「ねぇ」
少年の後ろから声がする。
琉璃の声だ。
それと同時に、少年はあることに気づく。
目の前に琉璃がいないということに。
『確かに刺したはずなのに……』
少年はそんなことを思い、振り向く。
そこには、無傷の琉璃がいた。
「お母さんとかに言われなかった?」
琉璃は、この状況を理解できていない少年に向かって言葉を放つ。
「『他人にしたことは全部自分に返ってくる』って」
その瞬間、少年の腹から大量の血が出る。
まるで、カッターナイフで腹を抉られたみたいに。
少年は何も思うことなく、その場で崩れるように倒れる。
そして琉璃は霊化を解く。
「……みんなどこ……?」
琉璃は静かにそう言い、少年の身体を踏んで歩いた。
もちろん、少年は動かなかった。
名言出ました、『他人にしたことは全部自分に返ってくるって』。




