アリエルの後悔
短編投稿しました。
『王子と公爵令嬢の恋愛相談係り。お前ら私を挟んで恋愛すんな!もう直に言いやがれ!』
良かったら読んで頂けると嬉しいです。
シオンが出ていき、重たい空気が流れる部屋にノックの音が鳴った。
コンコンッ
「誰だ?入れ」
入って来たのは隣の部屋で待機していたメイドのリサだった。
「君はシオンの…………」
リサは無言で変装を解いて守護精霊アリエルの姿になった。
!?
「なっ!?アリエル様!?」
二人は慌てて膝を突いて頭を下げた。
「先にこの姿になった方が話しやすいと思いまして。二人に伝えたい事があります」
二人は頷いてアリエルの言葉を待った。
「突然で驚いたでしょう?私はメイドの姿となってシオンの側で見守っていたのです。これはシオンのみしか知りません」
!?
まさかこんな身近に守護精霊アリエル様がいらっしゃったとは!?
ルークとアルトは驚きを隠せなかった。そして更に驚く事になる。
「今回、シオンを生まれ変わらせたのは私も初めての試みでした。それにともなっての影響を確認する為に側で見守っていたのです」
「アリエル様にはまた母上と会わせて頂き感謝の言葉もありません!」
アリエルはその言葉に悲しい顔をした。
「私もその感謝の言葉を信じて、生まれ変わらせたのですが、残された者がいる事にまで気が回りませんでした。シオンは老い先短い愛する者を忘れる事ができないでしょう。人の心を深く考えなかった私のミスです」
「確かに母上は父上が亡くなることで胸を痛めるでしょう。しかし、アリエル様が起こして頂いた奇跡に感謝しかありません!父上も母上に後悔していないのか、尋ねる事ができて吹っ切れたはずです!」
「私もそう思います!母上の本心を聞けて後悔なく逝けるでしょう」
アリエルは目を瞑り静かに言った。
「長くシオンの側に居たのでわかるのです。このままではシオンは元皇王カイルの事が忘れられなく、ただ無為に今世を過ごしていくでしょう。それは私の望む所ではありません。故に、シオンの『心の楔』を解く者が必要です」
そこでルークは、はっ!?と顔を上げた。
「それは私の愚息の事でしょうか?」
息子がシオンに惚れているのは有名である。
「そうですね。シオンを託す事のできる者の『候補』ではありますね。これからはシオンの気持ちを第一に行動するよう伝えて下さい」
「はっ!かしこまりました!」
アリエルはもう1つ用件があると言った。
「それと、今回あなた達の前に現れたのはもう1つ大事な用件があったからです」
二人は顔を見合わせて言葉を待った。
「そう遠くない将来、私が封印した古龍種・火炎龍王フレイムが再度復活します」
!?
「なんですと!?」
二人がアリエルと国の将来を左右する大事な話をしている時に──
シオンは着せ替え人形になっていた。
「もう許して……………」
満悦な二人とぐったりしているシオンがいたのでした。
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