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家族との時間③

ようやく家族水入らずで部屋に集まり、お互いの状況説明や最近の話題について話した。


「なるほど、あの地域の問題はこうやって解決すればよかったのか!」

「ええ、あそこはお金より食料や高級なワインの方が喜ばれるので、賄賂にならない程度にプレゼントしておけば、こちらの意見を通しやすくなるわ」


ルーク皇王の抱えている問題に、シオンはわかる範囲で、解決策を教えていった。


「ちょっと!せっかくの家族が集まった時間なのに!どうして公務の話になっているのよっ!?」


ハッ!?

つい癖で、仕事の話をしてしまいましたわ!


「あ~すまない!頼れる人がいると思うとつい意見を聞きたくなってな」


「まったく!お兄様は黙っていて下さい!それより、イージス領の発展は目覚ましいですね!」


シーラは無理矢理話題を変えた。


「確かに、この10年近くで地方都市と言っても過言ではないほど開発が進み、道路整備も進んでいるね」


イージス領の話題にシオンが答えた。


「ええ、守護精霊アリエル様の信徒が多く来る様になったのと、温泉を使った野菜栽培がヒットしましたわ♪」


「「温泉を使った野菜栽培!?」」


初めて聞く方法で、声がハモった。


「そう、やり方は二つあって、暖かい地域でしか育たない野菜や果物の畑を温泉で囲んで、地面の温度を上げつつ育てる方法と直接、冷ました温泉のお湯を畑に撒いていくやり方でね。ただの水より栄養成分が多くあるみたいで、野菜がより美味しく育つのよ!」


シオンの説明に、感心する子供達だった。


「流石は母上。温泉で作物も栽培まで始めるなんて、温泉への愛が深いですね!」


「昔から温泉だけは目がなかったですもの。ただ入り過ぎてのぼせてしまう事も多かったですが」


昔を懐かしむように会話に花を咲かせた。


「イージス領では急な人口増加で困っている事はないのですか?支援が必要ならなんでも言って下さいね」


優しい言葉にシオンは大丈夫よと言った。

それから一時間ほど話し合い、シーラとカルラ皇妃がシオンに詰め寄った。


「実は是非、シオン様に着て欲しいドレスがあるのです♪」

「私もお母様に着て欲しいお洋服があるの♪」


二人はシオンの両脇を掴んで引き摺って行ったのだ。


「ちょっ!?あー君!ルー君!た~す~け~て~~~!!!!」


シオンの叫び声がこだまして行った。


「ごめん母上。シーラには逆らえないんだ…………」


アルトはシオンに向かって合掌をして謝った。


「ふぅ、しかし父上の事を言わなくて良かったのか?」


急に真面目な顔になりルーク皇王は弟のアルトに言った。


「兄上、流石に私から言わせるのは酷いでしょう?ここは皇王である兄上から言って頂かないと!」

「それは…………言える訳ないだろう。父上がもう長くはないなんて…………」


最後は小さい声になっていった。


「言い難いですよ。しかし、今のうちに言っておかないと、母上の時と同じ後悔をする事になりますよ?」

「わかっている!今日は恐らく泊まっていくだろう?出発前には伝える」


誰だって家族がもう長くはないなんて言える訳がなかった。だから楽しい思い出を作り紛らわせようとしたのだ。


「はぁ~気が重いな」

「本当にね……………」


二人は重いため息を吐くのだった。









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