休息
イオンは兄のルインに詰め寄っていた。
「お兄様!シオンに変なことしてないでしょうね!」
ズモモッとルインに喰い付かんばかりに顔を近付けるイオンに、ルインは近い近いと身体を離した。
「何もしてない!それよりイオンの選んだデートコースが大当たりでな!助かったよ!シオンも喜んでくれた!今度何か御礼をしよう」
ピクッ
「へぇ~シオンがねぇ?お兄様、御礼は良いので、本日のデートの内容を詳しく教えて下さいまし!」
イオンは渋るルインを押し切り、デートの事を根掘り葉掘りと聞くのだった。
「………もう勘弁してくれ」
一時間後、ゲッソリしたルインに手にメモを取りながらデートの内容を記録していた。
「はぁ~お兄様にしては、なかなか頑張りましたわね。今回のデートは成功と言っても良いでしょう。でも、気を付けて下さいね?」
「何にだ?」
イオンは指を立てて言った。
「シオンが本命で婚約者候補なのは当然ですが、お兄様の婚約者候補はもう一人いるでしょう?シオンばかりにかまけて、スピカ令嬢を放って置くのはいけませんからね!」
ルインは、ハッとしてイオンを見た。
「スピカ令嬢はお兄様に好意を抱いています。余りシオンばかり贔屓していたら、暴走してシオンに危害を加えるかも知れませんわ。それに、優しいシオンが知ったらお兄様の好感度が下がるのは明白!先にスピカ令嬢に全て打ち明けて、諦めて貰うか友達付き合い止まりにしておくのか、早目にお伝え下さい」
「…………そうだな。心得ておくよ。それで──」
ルインとイオンが、今後のシオンと仲良くなる話をしている時シオンは───
「ふぃ~~~気持ちいいねぇ~」
「ふぃ~~~そうですねぇ~」
シオンとリサは学生寮の温泉に浸かり、フヤケた顔をしていた。
学生寮に増設された温泉はいつでも入り放題である。今日はシオンの帰りが遅かったので、他の学生は居なかった。
「本当に、この温泉に毎日入れる学生は幸せですね~」
「そだね~」
気持ち良い温泉に入ると語尾がふやけるよね~
こうしてシオンは温泉で1日の疲れを癒やすのでした。
部屋に戻るとリサがベットにダイブした。
「もう今日は働きたくありません~もう寝ます~」
「リサよ。仮にもメイドが主の布団にダイブして、主より先に寝るとは何事ですか?」
呆れ顔でリサを見つめるシオンに、もう寝息を立てているリサに呟いた。
「………そこ私のベットなんだけど」
シオンは軽くため息を吐いてリサのベットで寝るのでした。
とはいえ、何だか楽しそうな顔で寝ているシオンでした。
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