デート?
今日は休日です!
「お嬢様。本当の御予定は?」
メイドのリサの言葉に支度をしながら答えた。
「今日はイオンとお出掛けよ。今流行りの演劇を見に行くの」
シオンも『女の子』である。
娯楽の少ない世界では、演劇は庶民でも親しまれていた。
「さようでございましたか。私はてっきりペルセウスさんかルイン王子とデートかと思いました」
「あははは~!それは無いよ~ルイン王子は王子教育で忙しいみたいだしね。あっ、ルイン王子の疲れを癒やす何かでもお土産に探して見ようかしら?」
シオンの様子を見てリサは『残念な子』を見る眼差してシオンを見つめた。
「はぁ~さようですか。しかし、何となくイオンさんの予定が合わなくなり、代りにルイン王子が来るような気がしますが?」
「えっ?そうなの?」
「まぁ、そんな気がするという程度ですが、ルイン王子がもし来られました、ちゃんと付き合って下さいね」
うん?
シオンはよくわかっていない様子だったが、わかったわと返事をするのだった。
そして、待ち合わせ場所に着くとルイン王子が待っていました。
「シオン、すまない。イオンがどうしても外せない公務が出来てしまい、代りに私が来たんだ」
「えっ!そうなのですか?」
「ああ、代りに私が今日はエスコートさせて欲しい。後日イオンにもお詫びさせるから」
「いいえ、公務なら仕方がありませんわ。本日はよろしくお願い致します」
ルインはホッとした様子で頷いた。
「任されたよ。実は自分もこの演劇を楽しみにしていたんだ」
「そうなのですね!では行きましょう!」
私服姿のシオンの姿を見るだけでルインは感動していた。
可愛い系の洋服だな~
こんな服がシオンの好みなのかな?
しっかりとチェックしているルインだった。
演劇会場に着くと、貴族用のVIP席に向かった。
「これはこれは!ルイン殿下!本日はご来場ありがとうございます!本日来られなかったイオン殿下にもまたお願い致します!」
「ああ、楽しみにしている」
支配人に案内され、特等席に座りました。
普通の女性なら舞い上がるような所であるが、前世のシオンでは当たり前の席だった為に、平然としていた。
「ルイン殿下、飲み物でも頼みましょうか?」
「うん、そうだね」
側にいたスタッフに頼むと、演劇が始まる前に乾杯した。
「今日は一緒に来られて嬉しいよ」
「私も光栄ですわ」
小さく乾杯と言って冷たい果実水を飲みながら演劇が始まるのを待った。
この演劇のタイトルは『待ち続ける愛』
婚約者が戦争で帰らぬ人となり、ヒロインは10年も婚約者が帰って来るのを待ち続けると言う話だ。
最後はハッピーエンドで、婚約者は片手を失いつつも生還して、ヒロインと幸せになると言うスタンダードな恋愛もの。
途中で、ディープなキスシーンがあるが、ルインは少し顔を赤くしたが、シオンは平然としていた。
まぁ、前世では子供を三人も産んでいるので、その手の話は強いのである。
しかし、ルインと一緒に演劇を見にきた事で、多少はルインの事を意識したのは成功と言えるだろう。
演劇は大きな拍手と共に終幕したのだった。
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