デート!…………の、下準備?っていうか、レクチャー?
ルインは気分が高揚していた。
さっそくペルセウスが働き掛けてくれたおかげで、学園が休日の日にシオンと出掛ける段取りを取ってくれたからだ。
「お兄様!ペルセウス様の貸しはこれでチャラですからね!それと、決してシオンに不埒なマネをしたら許しませんから!」
プンプンッと可愛く怒るイオンにルインは、わかっているからと、服装をキメて支度していた。
「所で、何処に出掛ける予定ですの?」
ルインはイオンの問い掛けに振り向いて答えた。
「ああ、この日の為に最適なデートコースを考えた」
渡されたメモ用紙を見てイオンは深いため息を吐いた。
「お兄様って、腹黒で冷静沈着なキャラだと思っていたのですが、こんなヘタレだったとは思いませんでしたわ」
「おいっ!?」
遠慮ない辛辣な言葉に反論するルインだった。
(昔はあんなに大人しかったのに、良い意味でも悪い意味でもシオンはイオンの性格に影響を与えているなぁ~)
ルインの考えたデートコースは、まず美術館に行き、芸術を楽しんだ後、食事に行き、その後は流行の洋服やアクセサリー類の買い物に行く計画だった。
「まず、デートに美術館だなんて、公務のし過ぎで頭が固くなってませんか?若い年頃の女の娘が行く所ではありません!」
!?
「なんだって!?」
イオンはメモにバツを付けて自分の立てた予定を書き直した。
「まずは、午前から始まる演劇に行って下さい。私が予約していた所です。流行りの恋愛の演劇ですわ♪これでシオンもお兄様の事を意識してくれるはずです!」
「な、なるほど」
恋愛の演劇を見て、これがデートだと認識してもらうのか。
「次に、昼の時間になるので…………まぁ、食事のお店はこのままで良いでしょう。食事が終わったら、今開催されている郊外の薔薇園に散歩がてら行って下さい。食べた後では女性は匂いなど気にします。外でそれを緩和させるのです」
「そ、そうなのか………」
「この薔薇園は学園でシオンも行ってみたいと言っていました。一般用と貴族用がありますので、貴族用であれば人は少ないはず。周囲に人がいるとは言え、綺麗な薔薇を見て喜ぶはずですわ♪」
「確かに!」
「そこでは、薔薇の販売もしておりますが、寮生活では花の薔薇は邪魔になります。プレゼントするなら、売っている薔薇の香水や薔薇のシロップなどが宜しいかと思います」
ふむふむ!
「薔薇園の散歩が終わったら、ようやくお買い物です。ただ先程も言ったように寮生活なので、洋服よりアクセサリー類に絞った方がいいですわね。かさばらないので」
グッ、そんな事まで気を廻すとは!?
ルインはイオンのデート内容を聞いて完敗したと打ちひしがれるのだった。
「これでも応援しているのですよ?お兄様とシオンが結婚すれば、本当の家族になれますしね。あの生意気なサーシャさんをギャフンとしてあげられますわ!」
「そ、そうか。頑張るよ」
ルインはこうして出掛けるのであった。
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