王子の心境
【補足事項】
すみません!
ルイン王子はイオンの兄ですが、早生まれで同じ学年と言う設定です。
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シオンが学園が始まってやらかしている間、ルイン王子はペルセウスとコンタクトを取っていた。
「はぁ~やっぱりと言うか、流石はシオンだよね~」
深いため息とともに1つ年上の兄ペルセウスがルイン王子の前で呟いた。
「そうだな。ピアノはともかく魔法の授業では驚いたよ」
腕を組んでルインも軽くため息を吐いた。
「それはそうと、僕にシオンの好きな人を聞いても無駄だよ?僕も知らないからね」
「それはないだろう?シオンは明らかに好きな人がいる感じではないか!それが私でない事もわかっているんだ…………」
悔しそうにルインは唇を噛み締めた。
「だからって諦める訳ではないだろう?まだ学園生活は始まったばかりなんだ。焦らないで少しずつ距離を縮めていけば良いだろう?」
「ああ、そう思って交流を深めてきたが、今は仲の良い友達止まりでその先に進めないのだ!」
「何を焦っているんだ?僕はルイン王子ならシオンを任せても良いと思っているよ?ただ、シオンの本当に好きな人ができたらそちらを応援するけどね」
ルインは恨みがましくペルセウスを睨んだ。
「ペルは私の味方ではないのか!?」
「気持ち的には応援しているよ。ただ、1番はシオンの気持ちだからね。僕からは焦らずにって助言だけだよ」
ルインはもういい!と言って部屋を出ようとしたがペルセウスが呼び止めた。
「あっ待て、そう言えば学園が始まる前にイオン殿下に貸しを1つ作ったんだ」
?
怪訝な顔をするルインにペルセウスは提案した。
「今度、シオンとデートしたらどうだ?イオン殿下に僕の貸しでと言えば邪険にはしないよ。きっとお出掛けの口実を作ってくれる」
!?
「感謝する!」
ルインはペルセウスの手を取り握り締めた。
「シオンがやらかして、どんどん人気者になって焦る気持ちはわかるけど、無理矢理シオンに手を出したら………わかっているよね?」
ペルセウスは威圧と共にルインの手を力強く握り返した。
「わ、わかっている!」
慌てて手を離すと今度こそ出ていった。
「同世代では冷静沈着なクール王子でも、シオンが絡むと、変わらない思春期な子供だな」
苦笑いしながらルイン王子を見送ったペルセウスだった。
「しかし、王子教育も本格的に始まり、放課後も、ろくに遊べる時間がないと聞いているし、焦る気持ちも分からない訳ではないけどね」
ペルセウスはシオンの前世が皇后だったと言う事を聞いている。
まだシオンが元皇王カイル様の事が忘れられないと気付いているのだが、この秘密は決して話してはいけないと、現皇王ルーク様、及びカイル様より厳命されている。
ペルセウスは、過去の記憶に囚われず、今の自分を見つめて欲しいと思うのだった。
「ルイン王子も身近に想っていてくれる令嬢がいる事に気付いて欲しいものだよ」
ペルセウスはあくまでもシオンの兄として見守ることに徹するつもりだった。
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