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音楽の師匠でした。

呼ばれたイオンは、設置してあったピアノに座った。


「選曲はイオンさんにお任せ致します。どうか他の生徒のやる気が出るように真剣にお願い致しますね」


「わかりました」


イオンは少し考えると、ピアノを弾き始めた。

音楽室にいる生徒達は音を立てずに、真剣にイオンの演奏を聴いていた。


イオンの選曲した曲は、バラード調のゆっくりとしたメロディーの曲で、悲愛の演劇で使われる有名な曲であった。


演奏が終わると涙を流している生徒もいるくらい素晴らしい演奏だった。


「前に何度かイオン殿下の演奏会に行きましたが、今回が1番感情が乗っていて感動しましたわ!素晴らしいです!」


エリーゼ先生も涙を拭いながら褒め称えた。

うんうん!

流石はイオン!

私も感動したよー!

シオンも感動して胸が熱くなる思いだった。


「ありがとうございます」


「イオンさん、もし宜しければどうして音楽の道を歩み始めたのか伺っても宜しいでしょうか?他の生徒も気になっていると思いますわ」


エリーゼ先生の問い掛けにイオンはわかりましたと言って自分の事を話し始めた。


「私は子供の頃、優秀な兄のせいで自分に自信が持てない子供でした」


ざわざわ

ざわざわ


イオンの言葉に生徒達のざわめきが起こった。


「いつもお父様の後ろに隠れていて、皆さんに皇族での責任や重圧に耐えられるのかと心配させていましたがある日、私の人生を変えるきっかけになる出来事があったのです」


イオンはシオンにウインクした。


「それはどういう出来事だったのですか!?」


1人の生徒が尋ねた。


「それは兄と私は違うのですから、私自身の【個性】を伸ばせばいいのだと言われたのです」


個性?

どういうことだ?

その場にいた生徒は首を傾げた。


「同じものでも、人によっては違ってくると言う事で、そう仰った方はこの曲を弾いて下さいました」


次にイオンが弾いたのは国歌であった。

特に変わった事もない普通の曲。

しかし次に弾き始めたのはポップ調のメロディーであり、同じ曲ではあるが明らかに違った曲であった。


「これは………」


「どうですか?そのお方は同じものでも、個々に違う特徴の事を個性と言って、自分自身の誇れるものを見つけなさいと言ったのです。私はその言葉とこの音楽に【感銘】を受けて、その方と同じ音楽の道へ進んだのです。皆さんも、何かしら心に残るきっかけがあれば、きっと皆さんにも人生を変える分岐点が見つかるはずですわ」


イオンの言葉には説得力があり、音楽室にいた生徒達は感動した者や、人生談に感銘を受ける者などいた。


「イオン様!そのイオン様の人生を変えるきっかけをくれた方とはどなたなのでしょうか?」


興味津々で生徒が尋ねた。


「バカか!きっと王宮の音楽家に決まっているだろう!」

「いいえ、もしかして皇王様ではないかしら?」

「いやいや、側仕えのメイドと言う可能性も……」


色々と意見が出た所で、イオンはイタズラっぽく言うのだった。


「フフフッ!今の私があるのは、彼女のおかげなのです!」


ビシッ!とシオンに指を突き付けた!


「えっ?」


虚を衝かれたシオンは間の抜けた声を上げた。


「あれは、幼少の頃でした───」


イオンはうっとりとした様子で過去の事を話し出した。


逆にシオンはなんで私に注目がいくのよ!と、困惑するのだった。










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