対立
不穏な空気にシオンが口を挟んだ。
「こらこら、登校初日で喧嘩しないの。私は大丈夫だからねっ?せっかくのクラスメイトになったのですもの。仲良くしてくれないと悲しいわ」
!?
「そんな!シオン様を悲しませるなんて一生の不覚!申し訳ございません!」
「シオン様がそうおっしゃるなら仕方がありませんわ」
イオン皇女とサーシャ伯爵令嬢は、仲直りの握手を交わした。
しかし、視線が物語っていた。
『お優しいシオン様が言うので仕方がなく仲良くしてあげますわ』
『愛し子様を煩わせる訳にはいきませんもの。仕方がありません。全てはシオン様のおっしゃる通りに』
ウフフフッ!!!!
ギリギリッ
「よろしくお願い致しますわ」
「こちらこそ♪」
二人の牽制は続くのだった。
ざわざわ
ざわざわ
「あの方が守護精霊アリエル様の愛し子………」
「謁見の間に現れたと、父が興奮しながら自慢していたな」
「あ、うちの親もだ。守護精霊様が公式の場に現れたのは数百年ぶりって聞いたし」
王家と仲が良い訳だ。
などと、遠巻きにシオン達を見る視線が多かった。
そんな中、1人の女性が近付いてきた。
「御初にお目にかかります。私はスピカ・アイギスと申します」
「ああ、アイギス公爵家の長女だね。幼馴染だよ」
ルイン王子が教えてくれた。
!?
「えっ!アイギス公爵家!?」
ルイン王子の言葉にシオンが反応した。
サーシャ令嬢は、金髪を肩まで伸ばしている可愛い系の美少女であり、スピカ令嬢は、真っ赤な赤髪を腰まで伸ばしており、先っぽがドリルヘアーになっている悪役令嬢風の出で立ちだった。
「あら?シオン様は面識があるのですか?」
「えっ………いえ、祖母が昔公爵夫人には良くして頂いたと言っていたもので………」
【アイギス公爵家】とは、シオンの生前の【生家】である。シオンの生前の家族や兄妹はもう他界しているので、兄妹の子供達が後を継いでいる。
「まぁ!母からもよろしくと伺っておりますの。これからよろしくお願い致しますね」
ふむ?
しかし握手をした時に気付いてしまった。
手に剣タコが出来ている事に。
「へぇ?かなり鍛えているようね?」
「わかります?私はシーラ公爵夫人に憧れて修行に励んでおりますの。魔力も王家から教えて頂いた魔力循環の方法で、かなり魔力量も増えましたのよ?」
スピカも徴発する様に視線を合わせてきた。
なるほど。
「それは気になりますわ。今度、ぜひ教えて下さい」
「ええ、これからルイン王子の婚約者『候補』同士として、よろしくですわ」
シオンとスピカは握手を交わしたが、その後でうん?とシオンは首を捻った。
王子の婚約者(候補)!?
シオンは驚いた様に目を開くと、スピカは鋭く睨み付けるのだった。
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