学園です!
シオンは王立魔法学園へ到着した。
「う~ん!ようやく到着ね!」
馬車から降りて身体を伸ばしながら辺りを見渡した。
正確には学園の敷地内にある学生寮に到着したのだ。
学生寮はシオンの様に、地方からやってきた貴族の学生が入る寮である。
ただし、親戚が王都にいたり、王都にタウンハウスがある学生はそこから通う者も多い。
言葉を悪く言うと、余り裕福ではない学生が入る所でもある。
ただ、事情があっても貴族の子供が住む寮である。
5階建の大きいマンションの様な作りになっている。
3階までは『1LDK』だが、4階からは余り広くはないが、『3LDK』となり、高位貴族や王族など裕福な貴族などが、何かしらの理由で住む場所となっており、メイドを1名連れてきても良い事になっている。
「お嬢様~酷いですよ~~」
連れてきたダメイド・リサ(守護精霊アリエル)は涙目でシオンに訴えた。
「黙らっしゃい!イージス領では、温泉に入り三昧だったでしょ!しっかりと『メイド』としての仕事をして貰います!」
あれから何年も一緒にいることで、守護精霊アリエルの性格がわかってきて、最初の頃の謙虚さは無くなり、遠慮なく言い合える仲になっていた。
「だって~ここにはシオンお嬢様も好きな【温泉】がないじゃないですか~」
そう、2人は【大の温泉好き】でわかり合ったのだ。文字通り裸の付き合いをして心の友となったのである。
「フフフッ、私が何年も温泉のない所で暮らすとでも思っているのかしら?」
シオンは顎に手を添えて、上から目線でリサに言った。
「そ、それはどういう…………?」
「イージス領は空前のバブルに沸いているでしょう?」
フムフム?
「その潤沢な資金を投入して、数年前から工事を実施し、ついに学生寮に専用の温泉を増設する事ができたのよーーーー!!!」
ぬぁんだってーーーーーーーー!!!!!
たかだか数年しか居ない場所に温泉をわざわざ引いたっていうの!?
(あ、特別に許可は取りました)
シオン、貴女って人は…………
なんて素敵な温泉バカなのかしら♪
リサは両手を握って羨望の眼差しでシオンを見詰めた。
「つまり、ここでも温泉に入れるって事ですね♪シオンお嬢様!一生、憑いていきます!」
何やら字が違うようだが気にしないでおこう。
「それに、これは先行投資なのよ♪ここで温泉の素晴らしさを子供達に理解して貰えれば、温泉の宿場町として栄えているイージス領にやってきてくれるかも知れないでしょう?」
なんとっ!?
そんな崇高な目的があったとは!?
「素晴らしい慧眼です。シオンお嬢様!愛しています♪では、そろそろ学生寮に行きましょうか」
切り替えの早いリサに促されて、長く立ち話をしていたシオン達は学生寮に移動した。
あっ、ちなみに女子寮と男子寮は別れております。
荷物は既に運ばれており、今は手荷物ぐらいしか持ってきていなかった。
そして、シオンは当然1番上の5階である。
部屋に入ると広くはないが、想像以上に備え付けのベットやテーブル、絨毯などが高級なもので揃えてあり、少し恐縮するシオンであった。
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