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勝利!

マーチス将軍の闘気が素人の目にも視えるくらい濃密になり、ゴゴゴゴッ!!!と、周囲を振動させた。


「思い出せ!貴様らは何の為に騎士になった!くだらない権力争いをしている王侯貴族の為か!違うだろう!?今も民は困窮し、餓死者も出ているのだぞ!その姿を見ても奮い立つ事が出来ないなら!」


マーチス将軍は腰から剣を抜いた。


「騎士を名乗る資格なしっ!」


一閃の太刀の下、城門を斜めに斬り裂いた。

城門は大きな音を立てて倒れた。


城門が破られ、目の前でマーチス将軍の闘気を目の当たりにした城門の守備騎士達は、武器を捨てて投降した。


「戦いもせず降伏とは、王都の守備騎士団とは聞いて呆れるわ」



マーチス将軍は後ろを振り返ると、近くにいた兵士達に突撃させ、城門の兵士達を縛り上げた。


「…………流石はマーチス将軍ですね。まさか、ここまでの力を持っていたとは知りませんでした」

「それは私もです。脳筋とは思っていましたが、ここまでの実力者とは」


サイモン宰相は、マーチスが愛国家であって良かったと心から思った。


「マーチス将軍には特別な称号を与えるべきですね。エルザ国最強の武人に贈られる称号を」


イザツイ王女はこんな時であったが、どんな名前の称号を与えようか、考えると少し楽しく思うのだった。


城門の制圧が完了すると、マーチス将軍に触発されて、兵士達も我先にと果敢に攻めていった。


狭い通路では数の有利は活かせなかったが、多くの守備騎士達は次々に投降しており、戦いは散発的に起きる程度で、順調に王城を制圧していった。


そして遂に謁見の間にたどり着いた。


重厚な扉を開けると、多くの有力貴族達が揃っていた。


「ふん、民を省みず利権だけを求める亡者共が揃っておるようだな」


マーチス将軍を先頭に次々に兵士が雪崩れ込んだ。


「貴様ら!ここを何処だと思っている!ここは国王であるオレの城だ!全員、打ち首にするぞ!」


玉座には第一王子レクオテが座っていた。


「あら?第二王子イルウドお兄様はいらっしゃらないのですか?」


レクオテは笑いながら言った。


「あの臆病者は、貴様らが進軍してくると知って逃げ出したわ!まったく無能な弟よっ!」


いえ、貴方より賢明な判断をしたと思いますよ?

すでに勝敗は決したのに、どうして堂々としていられるのでしょうか?



「それで、レクオテお兄様はどうするおつもりですか?すでに勝敗は決したと思いますが?」


レクオテは剣を抜いてイザツイ王女に突き付けた。


「イザツイよ!私と勝負しろ!私が勝ったらお前の連れてきた兵士達は私の傘下に入る。お前が勝ったら王位を譲ってやる」


頭がおかしいのでしょうか?

私がそんな要求を飲まなくても、兵達に言って制圧すれば終わりですのに。


イザツイ王女は少し目を瞑り思案すると、王子の勝負を受ける事にした。


「姫様!こんな勝負に乗る意味はありませんぞ!?」


「大丈夫です。私も危険な勝負をしなければ、後の統治に侮られますので」


王女は女性でも扱い易いレイピアを抜いて前に出た。


「それでこそ我が妹だ」


王子も前に歩き出すと、2人は対峙する形で構えた。


「このコインが落ちたら勝負開始だ」

「わかりました」


ピンッ!


指で弾かれたコインが宙を舞った。


視線がコインに向いた瞬間、レクオテは飛び出して切り掛かった。


「ハハハッ!死ね!!!」


!?


大きく振り被った剣を振り下ろす前に、イザツイ王女のレイピアが王子の喉を貫いた!


「きゅぴ!?」


「終わりです」


シュッとレイピアを抜くとガハッ!と、レクオテは倒れて動かなくなった。


『バカなお兄様。貴方は同じ事を何度も繰り返して、笑いながら自慢していたでしょうに』



そう、過去にも決闘と称して卑怯な手で勝っていたのだ。


故に、イザツイ王女はコインが投げられた瞬間にレイピアを構えて王子に最速の突きを放ったのだった。





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