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耐える時

辺境の砦をエルザ王国に取られてから睨み合いが続いた。当初はすぐに終わると思われていた戦いが長期に及ぶ可能性が出てきた。


カイルは避難してきた住民やエルザ王国の侵略に対応するため、街道沿いにある大きな街を更に大きく拡張し、城壁も大きく強固にした。


拡張工事を始めた当初はエルザ王国軍も1度攻めてきたが、軽く応戦するとすぐに引いていった。


「はぁ、いったいいつになったら終わるんだろうな」


カイルは遠くの王都を見て呟いた。

結婚して数年、子宝にも恵まれてこれからって時に、遠くの辺境の街での滞在を余儀なくされて深いため息をついた。


皇王が辺境で滞在することで、辺境は見捨てられていないと民衆にアピールする事ができるからだ。その間の政務は出産して数ヶ月経ったばかりのシオン皇妃と母である皇后が請け負っている。


それでも一部の政務は皇王しかできない政務もあり、特例措置で代理でやってはいるが、滞る場合もあり、緩やかに民の暮らしにも影響が出ていた。


むやみに攻めても被害が大きくなり、かと言って辺境の国境砦を盗られているため撤退もできず時間だけが流れていった。



この時、実は優勢なエルザ王国でも予想外な事が起きていた。


少し時間が遡り、上手く砦を占拠した時期であった。


「流石はマーチス将軍!この難攻不落の国境砦を鮮やかに攻め落とすとは素晴らしい!」


侵攻軍の最高司令であるマーチス将軍は目の前の褒め讃える男を睨んだ。


この男は国王が送り込んだ、軍の相談役にして軍の内情を国王に伝える密偵でもあった。


本来であればマーチス将軍に意見する事などできないが、国王の勅命書を持っている為に、同行を拒否できなかったのだ。


そして、軍と国王は仲が悪かった。


10年以上前の戦争では、軍部の反対を押し切って攻めた事により大敗したからだ。

しかも、大義名分もなく、国王の欲の為に起こした戦争で、士気が低く、さらに、敗戦とわかった時点で国王だけサッサと逃げ出したからだ。


それから十数年、力を蓄えて再度の侵攻であった。


今回は時期が良かったのか、幸運なのか、不運なのか、軍部でも隣国のドサクサに侵攻するのは理に適っていると叫ぶ者、過去の恨みを晴らす機会だと言う者など、侵攻に同意する者が多数いた事もあり、士気も高かったのが決め手だった。


そして、マーチス将軍は国境の砦を占拠した事でアガレス王国と交渉し、賠償金を貰って手打ちにする予定だった。

だが、国王直属の軍の相談役であるドクズと言う男のせいでできなくなってしまった。


ドクズは一部の部隊を率いて、周辺の無抵抗の村や町を襲い、虐殺と略奪を犯したのだ。


カイルは生き残った者の保護をしたが、民を虐殺されては徹底抗戦せざるを得なくなったのだ。


マーチス将軍はドクズを叱責したが、国王の指示だと言ってのらりくらりと責任転嫁するだけだった為に、マーチス将軍は軍法会議を開き、ドクズを罷免して、王都へ送還した。


しかし、アガレス王国とエルザ王国の関係改善にヒビが入り、引くに引けない状況になったのも事実だった。





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